『新聞の正しい読み方』 松林薫著

『新聞の正しい読み方』 松林薫著 NTT出版 2016年 資料番号:22863021 請求記号:070.4/198  OPAC(所蔵検索)

 日々のニュースはネットで、という方も多いのではないでしょうか。短時間で自分の得たい情報だけを得るには最適です。このような時代になぜ新聞を取り上げるのか。それは、新聞には記者の圧倒的な取材力によって生み出される信頼性と正確性があり、得られる情報の偏りを防ぐことが出来るからだと著者は語ります。
 元日本経済新聞の記者で、金融・証券、年金、財界などの分野を担当してきた著者は、そもそも新聞記事とは、記者が読者に発するメッセージなのだと言います。
そのメッセージの特徴は、正しい読み方の手順を踏めば、伝えようとした内容や意図がよく理解できるという点にあります。その手がかりとして情報を3つの軸から読み解く方法を記しています。まずは「表現」。記者が記事で使う言葉の意味などを正しく読み取ります。主語は誰か、語尾は断言か、推測かなど。次に「立場」。記者がどのような組織の中で記事を作っているか考えます。原稿は3~4人のチェックが入り、記者の個人的な主張はできません。これは記事情報が持つ限界について考えることになります。そして「心理」。記者の行動原理を考えます。記事には重要度が決められており、特ダネは最も評価の高い記事です。なるべく大きな記事を書きたいのが記者の心理。しかしそう毎日特ダネがあるわけではありません。そこで登場するのが「なんちゃって特ダネ」。紙面が埋まらない時に埋められる能力も高く評価されるそうです。手持ちネタを「このほど分かった」などと表現しネタの新鮮さを装うのです。こういった背景を知ったうえで記事を読むと、ニュースの価値を正しく評価できるようになります。
 書き手側のテクニックを知ることで読み手側のニュースの見方が変わる。これは同時に社会を見る目も変わるということにつながります。情報過多の時代、私たちは自ら情報を取捨選択して生きています。だからこそ「正しい読み方」を知ることの重要性を本書は記しているように感じます。

 最後に情報リテラシーの鍛え方にも触れています。著者のお勧めは過去の新聞の縮刷版。過去・現在・未来の視点を持つ力を養うことができるといいます。これは具体的で且つ納得のできる方法です。
 是非新聞を片手に本書を開いてみてください。紙面の向うで奮闘する記者を思い浮かべながら。
 
(県立図書館:4コマ漫画に癒されます)