文字・活字文化の日記念講演「万葉集のことば 現代のことば」を開催しました

 10月26日(土)、神奈川県立図書館にて、文字・活字文化の日記念講演を開催しました。
講師は、国語辞典編纂者であり、日本語学者の飯間浩明先生にお願いしました。飯間先生は、2005年から『三省堂国語辞典』の編集委員として辞書づくりに携わられています。国語辞典編纂のために、日々、さまざまなメディアや日常生活の中から、現代語の用例を採集されています。そのご様子は、昨年のNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」でも取り上げられました。朝日新聞の連載やご自身のツイッターなど、さまざまなメディアでことばについて発信され、幅広くご活躍をされています。

 ことばについて日頃研究されている飯間先生に、今回、「万葉集のことば 現代のことば」という演題でことばの変化についてお話をいただきました。はじめに、先生の自己紹介として、辞書づくりの現場ではどのようなことを行っているかなど、現在のお仕事についてのお話がありました。その後、万葉集との出会いなど、具体的なご自身の経験を述べられました。ことばに興味をもった少年時代、大野晋先生の講演を機に万葉集に夢中になった学生時代のこと、そして、大学の卒論では、万葉集のことばについて研究をされたそうです。万葉集を学んだ経験は、現在のお仕事にも活かされているとのことでした。

 講演では、万葉集の中からいくつかの歌を例にあげ、万葉集のことばについて説明されました。また、学生時代の研究データから、万葉集にはどのようなことばが多く出てくるのかというお話もありました。そして、ことばの変化に着目し、“信号の青はなぜ緑なのに青というのか”という問題や“まぬがれる”“まぬかれる”どちらが正しいのかという事例を取り上げられました。ことばの問題を考えるとき、古典のことばからの変化を知ることが大切であるというメッセージの込められた講演でした。今の時代、ひとつのことばに対して正誤に捉われがちですが、歴史的事実をふまえること、別の解釈の可能性があることを理解することで、ことばに寛容になる必要性を教えられました。
 付箋形式の質疑応答では、ことばに関するご質問を沢山いただきました。その中からいくつかをピックアップし、お答えいただきました。もっとお話を伺いたいというみなさんの雰囲気を感じつつ、終了時間となりました。

 今回の講演はお申し込みも多く、抽選になりましたが、定員を超える多くの方にご入場いただきました。熱気にあふれた会場の中、終始和やかな雰囲気の講演で、飯間先生のお人柄がにじみ出ていたと思います。先生は、時々、笑いもとって、場を和ませくださいました。うなずいている方、一生懸命メモを取られている方、みなさん、熱心に聴講されている姿が印象的でした。
 アンケート結果によると、今回の講演で万葉集について興味を持たれた方も多く、ことばを通じ、古典への興味にもつながったようです。この講演が、文字・活字に触れるきっかけづくりとなり、人生100歳時代、それぞれの豊かな読書生活や調査研究につながることを願っています。

(文字・活字文化の日記念講演担当)