制作ちょっと秘話 神奈川デジタルアーカイブ「神奈川と明治 ~躍動する神奈川・明治新時代」

 明治150周年を記念し、9月に「神奈川デジタルアーカイブ」の新規コンテンツを公開しました。当館が所蔵する明治期の地図や絵図、双六、商標など、当時の生活の様子をうかがえる多彩なデジタル化資料を閲覧・ダウンロードすることができます。題して「神奈川と明治 ~躍動する神奈川・明治新時代」、もうご覧いただけましたでしょうか?
 このデジタルアーカイブは当館司書が力を合わせて、2年がかりで制作いたしました。デジタルアーカイブ「神奈川と明治」の制作工程は、①テーマに沿って資料を選定、②著作権の保護状況を確認、③資料名や作者、出版年などのメタデータを整理、④資料をスキャニング、⑤スキャンした画像データを公開用に加工、⑥データベースにメタデータと画像データを登録、⑦公開用ウェブページを作成、という手順になります。
 当館の新館3階「かながわ資料・新聞雑誌室」では約2000点の絵図と地図を取り扱っており、まだデジタルアーカイブで公開していない、皆さまにご覧いただけていない資料が、多く眠っています。新規コンテンツの制作に当たり、どのような資料ならより興味を持っていただけるのかを昨年度から考えて準備し、今回は明治150周年に合わせて、未公開資料の中から明治時代の関連資料を選定しました。
 資料をデジタル化するために欠かせないのがスキャン作業です。その際、資料は素手で扱います。人気鑑定番組では白手袋をはめて依頼品を鑑定している場面を目にしますので、一般的にはそのイメージかもしれません。ただ当館では、浮世絵や古文書など古典籍の紙資料を取り扱うに当たり、手をよく洗い清潔にした上で素手で触ります。素手で触ることで、手袋との摩擦で起きる資料劣化を防ぎ、指先の感覚から適度な力加減を調整することができるからです。
 スキャン作業には高性能スキャナーを使用します。定型サイズに合わない資料でも、分割してスキャンすることで自動的に本物さながらに結合してくれます。取り込んだ画像が結合されてパソコン画面に表示された瞬間、その出来栄えに、普段から使用している課員でさえ改めて「おお!」と歓声を上げてしまいます。
 最近では自館サイトでデジタルアーカイブを公開する図書館や美術館が増え、定番のコンテンツとなりました。その中でも2005年に当館が公開を開始した「神奈川デジタルアーカイブ」は、公共図書館アーカイブ界の先駆けではないかと思っているのですが、デザイン面で比較するとちょっと素朴に感じるかもしれません。公開用のWebページは、司書が日常業務の一環で作っているため、コンピュータの専門家のようにはいきません。そのぶん資料画像にたどり着くまでのクリック数を減らせないか考えたり、ダウンロード時の手頃な画像サイズを考えたりと、皆さまにとって使い勝手の良い構造を目指して知恵を絞っています。
「こんなに面白い資料があることを、できるだけ多くの方々に知っていただきたい!」というのが、デジタルアーカイブ最大の目的です。ご紹介する私どもも、制作過程で改めて資料を手に取ると、紙の質感、絵や文字の立体感、色の濃淡など、オリジナルの素晴らしさに感動します。皆さまにはデジタルアーカイブを便利にご活用いただくとともに、もし機会がありましたら、実際に図書館に足をお運びいただいて、本物を皆さまの目でお確かめいただきたいです。

(地域情報課 デジタルアーカイブ担当)