大人の自由研究応援講座 「集めた資料をどう読むか」を開催しました

 県立図書館では「大人の自由研究応援講座」と題して、皆様の自分だけの研究を始めるお手伝いをしております。その第1回目として7月21日(土)に「集めた資料をどう読むか」と題する講座を開催しました。今回の講師も“大学の先生・プロの研究者”でいらっしゃる福田武史先生(毎年大好評なので今年でなんと3年目!)にお願いしました。

 初めに先生から、研究とは、今まで学校で行ってきた「勉強」とは違って「ここが不十分である」「ここが誤っている」と異議申し立てをすることで、先行研究を鵜吞みにせずその真意を検証しながら(疑いながら)読むことが研究に繋がる読み方です、とお話しいただきました。その上で先行研究を検証する際に注意すべきこととして
①引用・言及されている資料を自分の目で確かめる
②資料の解釈が正しいか確かめる
③先行研究の主張が論理的に正しいのかどうか確かめる
④先行研究の主張に対する反証(証拠)を探す
という、研究論文を読むための基本姿勢を挙げていただきました。しかし、先生も今年で今回のご講義は3回目。これまでのご講義で反省された点があったそうです。それは、「すべてを疑っていたらキリがない」ということを伝えていなかったという点でした。今回のポイントは「いきなり専門書や研究論文を読むのではなく、その研究分野に関する共通のこと(常識)を学習し、疑うべきところと受け入れる部分のバランス感覚をまず養おう!」ということでした。
 そこで、先生は学習から研究への一歩として、基本をおさえることの重要性をお話しされました。そしてその研究分野の基礎知識や基本的な「約束事」を知るために、まずは入門書や参考図書(辞典・事典)でまずは学習することが初めの一歩なのだと語られました。また、入門書は1冊ではなく、複数冊(異なる著者・出版社)読むことを薦めてくださいました。入門書といっても予備知識がないと理解できないことがありますが、複数読むことで補完されて内容を理解することができ、何が基礎知識なのか、何が共通認識なのかがわかるようになり、疑うべきところを見抜く力が養われるとお話されました。 
 その後、初めにあげた①~④の項目に沿って実際に論文を検証してくださいました。検証に大切な事は必ず①を行うこと、そして②③④を行います。自分が感じた違和感を大切にしながらも無理に新説は立てようとせず、各種事典・辞典や解釈書を調べ検証するという、その先の研究(その先にある問題)に繋がる読み方をお話してくださいました。事例には「万葉集」から恋の歌を扱い、会場にいる皆がお話に引き込まれました。
 先生は今回のご講義で何度も基礎知識の重要性をお話されました。まずは学習することで基礎知識を得て、全てを疑うような無駄をなくし、自分の研究に繋げることができるとお話されました。先生のご講義はテンポよく、基礎知識の重要性がとてもよくわかりました。講座終了後のアンケートでは、「無駄のない研究ができるように土台をしっかりとする」「基本的な事が学べてよかった」「学ぶ楽しみを教えていただいた」というご感想をいただきました。
 皆様も、研究を始める一歩として、まずは入門書を読んでみてはいかがでしょうか。県立図書館には皆様の「学び」に役立つ資料を揃えております。ご利用ください。

 当館では今後も研究のお役に立てる講座を企画しています。9月には雑誌論文の探し方、10月にはかながわ資料の探し方、11月には外部講師による「集めた資料から文章を書く」方法の講座を予定しています。ホームページやチラシなどでお知らせしますので、ぜひこちらの講座にもご参加ください。

(県立図書館図書課 講座担当)