『世界の料理』シリーズ タイムライフ編集部編

『世界の料理』シリーズ タイムライフ編集部編 タイムライフブックス 1972~74年 請求記号:596/392/1~17 (所蔵情報は文末に)

 多くの書店や図書館では、料理の作り方を紹介する本、いわゆるレシピ本の一角が存在感を放っています。一口にレシピ本と言っても、取り扱う料理や食材の種類、調理技術の難易度などにより、その内容は実に様々です。写真をたくさん掲載して、懇切丁寧に調理手順を追う本もあれば、短い文章で、極めてシンプルに作り方を伝える本もあります。レシピ本をめくりながら、これは美味しそうだな、これも作ってみたいなと思いを巡らせるのは、楽しいひとときです。

 1970年代にタイムライフ社から出版された『世界の料理』シリーズは、世界各国の料理や、その作り方を紹介するシリーズです。扱う料理は、フランス料理やイタリア料理、中国料理などの馴染み深いものを始めとして、ロシア料理やスカンジナビア料理、インド料理などの多岐にわたります。
 このシリーズの醍醐味は、見たことも聞いたこともない料理や、贅を凝らした盛り付けの料理を、迫力ある大判写真で堪能できることです。
 たとえば『フランスの古典料理』の巻の第1章には、「料理は芸術である」というタイトルのもと、「日常の料理とはかけ離れた別天地に、フランスの古典料理の世界がある。」と記されています。さらに、「本書でとりあげた古典料理とは、文字通り最高級のフランス料理で、これはフランスの天分豊かな偉大な料理長たちが築いた料理の金字塔である。」と高らかに宣言する通り、表紙写真の「肥鶏のネヴァ風の冷製」をはじめとして、「きじのパイ」(なんと、作るのには約1週間かかるそうです!)や「オマールえびのパリ風冷製」、「型詰め焼きの料理シャルトルーズ」といった料理の写真からは、神々しささえ感じられます。
 各巻には、料理の大判写真やレシピが掲載されていますが、それだけにはとどまらず、各国・地域の歴史や民族、風土などの紹介に多くのページが割かれており、充実した読み物として楽しむことができます。幾何学模様が描かれた「ウクライナ地方の復活祭の飾り卵」の写真が表紙の「ロシア料理」の巻では、蜜蝋を用いた飾り卵の作り方を図入りで解説するなど、珍しい技術も紹介されています。

 当館が所蔵する17冊のうち、『四季のディナー』と『メニューの手引/料理用語集』を除く各巻には、付録として、リング製本のレシピ集がついています。ただし、付録のレシピ集は文字(しかも小さめ)が主体のため、写真付きの分かりやすいレシピ本に慣れていると、このレシピの記述のみで調理を進めるのは、なかなかハードルが高いようにも感じられます。また、40年以上前に出版されたシリーズであるため、内容にいささか古めかしく感じる部分があるのも確かです。
「今夜のおかずは何にしよう?」という場面で威力を発揮するような、“実用タイプ”のレシピ本ではありませんが、ページをめくるだけで重厚で豊かな食の旅を満喫できる、とても贅沢な本として、折にふれて味わいたいシリーズです。

各巻へのリンク

1.『フランス料理』 資料番号:12596417
2.『中国料理』 資料番号:21976097
3.『イギリス料理』 資料番号:12596383
4.『ロシア料理』 資料番号:21976055
5.『イタリア料理』 資料番号:12596359
6.『日本料理』 資料番号:21976063
7.『ドイツ料理』 資料番号:12596391
8.『ワインと酒』 資料番号:12596995
9.『フランスの古典料理』 資料番号:21976089
10.『スカンジナビア料理』 資料番号:12596409
11.『スペイン・ポルトガル料理』 資料番号:71317572
12.『アメリカ料理』 資料番号:71317408
13.『太平洋 東南アジア料理』 資料番号:71318745
14.『インド料理』 資料番号:71318620
15.『日本の行事料理』 資料番号:71318406
16.『四季のディナー』 資料番号:21976071
17.『メニュ-の手引』 資料番号:12594750

(県立図書館職員:パスタ大好き)