「浮世絵にみる文明開化‐鉄道開通と明治のにぎわい」開催中です。

 県立図書館かながわ資料、新聞・雑誌室では地域資料として浮世絵を所蔵しています。普段はなかなか表に出せないため、あまり知られていないかもしれません。そこで、今年度は浮世絵をご紹介する展示を行っています。
 第1弾(8月11日~11月8日)では横浜開港以降、急速に発展する街の様子や、居留地に暮らす外国人の姿や風俗などを描いた「横浜絵」を紹介していましたが、第2弾の今回は、明治の文明開化によりもたらされた風俗を描いた「開化絵」を紹介しています。

 明治初期、文明開化の風俗が人びとの関心の的になっていました。
 浮世絵界も、新しい事物が満ち溢れていたこの時期は、題材がとても豊富で活気づきました。洋風建築、工場や駅や橋など各種の新施設、ガス灯や電話などの文明の利器、蒸気車や人力車などの交通、舞踏会・音楽会などの風俗関係、帽子やパラソルなどの舶来の品々、料理屋、女学生などなど、社会や生活全般にわたる素材が、浮世絵のネタになっています。また、しばしば行われた天皇・皇族の行幸啓、源氏絵的な女官風の宮廷絵なども描かれました。
 明治期に浮世絵を発行した板元の数は幕末を大きく上回り120余軒といわれ、出版量は江戸300年間に版行された数に相当する量と推定されています。特に鉄道に関する浮世絵は総数300点を越えていました。鉄道開通前の明治2年にはすでに、かなりの創作を交えた浮世絵が版行され、鉄道開通が開通以前から注目されていたことがうかがえます。なかでも三代歌川広重は100種近い作品を版行しています。
 明治の浮世絵は、江戸時代の浮世絵画家、喜多川歌麿や初代歌川広重たちのような雅趣や優艶さは薄れていますが、舶来の顔料を使用した極彩色の色彩からは当時の人々の溌溂とした活気に満ちた情景が感じられます。

 今回の展示では鉄道を描いた浮世絵を中心に、「開化絵」を代表する浮世絵師、歌川広重(三代)による「横浜海岸鉄道蒸気車図」 をはじめとして、「横浜鉄橋之図」(玉蘭斎貞秀)や「横浜繁栄本町通時計台神奈川県全図」(歌川国鶴(二代))等の浮世絵作品と、併せて関連資料として明治時代に撮影された浮世絵と同一地域の写真を展示しています。
 会期途中で展示する浮世絵の入れ替えを行い、11月10日(金)~12月20日(水)までと12月21日(木)~2月7日(水)までの2回に分けて計13枚の浮世絵を展示します。この機会に美術館とは少し違った視点から図書館の浮世絵展示を是非ご堪能下さい。

(県立図書館:図書課 企画展示担当)