『クリスマス・キャロル』 チャールズ•ディケンズ/著 カリーン•テイラースン/絵

『クリスマス・キャロル』 チャールズ•ディケンズ/著 カリーン•テイラースン/絵 パルコ出版 1990年 資料番号:20265906 請求番号:E3/デ  OPAC(所蔵検索)

 初めてディケンズの「クリスマス•キャロル」を手にしたのは、私が小学校4年生の頃でした。当時、私の通っていた小学校の図書室には、選任の先生がいらっしゃって、たくさんの本を読み聞かせしてくださったり、紹介してくださいました。「クリスマス•キャロル」も先生のお勧め本でした。
 その頃、ウェブスターの「あしながおじさん」やモンゴメリの「赤毛のアン」を好きだった私には、この物語は読み始めから恐ろしいとしか思えませんでした。主人公が強欲なスクルージというおじいさんで、おまけにいきなり7年前に亡くなった共同経営者の幽霊の登場です。それも腰に鎖をジャラジャラと巻き、その上その鎖は生きていた間の欲の深さが鎖となってしまったと言うのです。
生きている間に欲を出す度に、自分でせっせとこの長い鎖を編んでしまったのだと。
「あんたは俺よりももっと太くて長い鎖を編んでいるんだ。」とスクルージは幽霊に言われてしまいます。そして、今夜これから3人の幽霊が訪れるから、今までの自分の行いを悔いて改めるようにと。生きて改めることが出来れば、まだ救いはあると。それが俺からのクリスマスプレゼントだと言い残し幽霊は去って行きます。
 死んだ後に腰に巻かなければいけない鎖を自分で編んでいるなんて。それにこれから3人の幽霊まで出てくる…1人目は教会の鐘が1度鳴った後だとスクルージは予告まで受けてしまいます。
そしてそれから暫くして教会の鐘が1度だけ鳴りました…

 今回ご紹介させて頂く本は仕掛け絵本です。美しい挿絵と仕掛けが細部まで施されています。
クリスマスを迎える人々の心踊る様子がこの本から伝わって来るような、小学生だった私が思い描いた「クリスマス•キャロル」の世界そのものです。
 初めてこの物語を手にしてから何度何度も読み返し、その後ディケンズのロンドンの家を訪れ、私が直に感じたもの、それがこの本に詰まっているような気がします。物語は小学生用に短く読み易くされていますが、美しい挿絵と仕掛けがディケンズの家で見た数々の挿絵を思い起こさせるのでしょうか…まるでディケンズの家を再度訪れているようです。是非、手に取って頂きたい一冊です。

(県立図書館:待ち遠しいクリスマス)