上映会 『鷗外の恋人』

 10月18日(水)、県立図書館にて、所蔵資料上映会を行います。13時30分(13時開場)から15時30分まで、場所は、本館1階多目的ルームです。事前申し込みの必要はありません。直接会場までお越しください。40席をご用意しています。
 今回上映する作品は、当館が所蔵するDVD『鷗外の恋人』です。実在した森鷗外の恋人に迫るドキュメンタリー作品です。この作品は、鷗外が『舞姫』を発表して120年目にあたる2010年に『鷗外の恋人―百二十年後の真実』としてNHKで放送されました。
 森鷗外は短編小説『舞姫』を1890年に発表しました。『舞姫』は、雅文体といわれる平安時代の仮名文を模した文体で書かれており、とっつきにくい印象もありますが、教科書にも取り上げられている日本では有名な近代文学作品のひとつです。内容は、ドイツで法律を学ぶ日本人留学生と現地の踊り子の悲恋の物語です。日本から留学した前途有望な官吏、太田豊太郎は立身出世を選び、少女エリスとの恋愛を捨て、帰国してしまいます。残されたエリスは悲しみに暮れ、狂人になってしまいます。
 この『舞姫』は、鷗外のドイツ留学時代の体験に基づいて書かれたといわれています。物語と同様、鷗外がドイツ留学から帰国した直後、彼を追って来日したドイツ人女性がいたという事実からも自伝的色彩が強いことが想像できます。そのため、『舞姫』におけるヒロインの実像は、一部の人々の間では大きな関心事であり、これまでもエリスのモデル探しは盛んに行われてきました。
 今回上映する作品も、制作者の今野勉氏が新たな物証をもとにエリスのモデルとなった人物に迫る内容となっています。このドキュメンタリーの鍵は、鷗外の遺品のひとつであるモノグラム(ハンカチなどにイニシャルを刺繍する際に使う文字を組み合わせて図案化したもの)です。本名森林太郎のイニシャルが刻まれたそのモノグラムに注目し、隠された文字やその意図を推理しながら、真実のエリスを突き止めていきます。
 舞台は『舞姫』が執筆された鷗外の旧居や生誕の地・島根県津和野、鷗外が恋人と出会ったドイツへと展開し、鷗外の足跡をたどります。今も残る様々な記録や子孫の証言をもとに、ベールに包まれてきた恋人の謎を解き明かしていきます。まるでミステリーを見ているかのように謎解きに引き込まれていきます。
 エリスの正体については、いろいろな説があります。この作品が制作された後にも新たな説が出てきました。興味のある方は、関連本をお読みになってみてはいかがでしょうか。当日は会場内に関連本を並べます。上映前後、どうぞ手にとってご覧ください。
 本年度は、年に一度の所蔵資料上映会となりました。この機会にぜひご来館をお待ちしております。

(県立図書館:上映会担当)