『地球家族 世界30か国のふつうの暮らし』 マテリアルワールド・プロジェクト著 

『地球家族 世界30か国のふつうの暮らし』 マテリアルワールド・プロジェクト著 TOTO出版 1994年 資料番号:21727565 請求記号:361.63/70   OPAC(所蔵検索)

 いきなり個人的なことで恐縮ですが、日々増え続ける荷物に頭を悩ませています。この荷物、全部家の外に出して整理し直せたらいいのになぁと思いますが、そんなことが叶うはずもなく・・・それを実際にやってしまったのが、今回ご紹介する本です。
 本書は、様々な国の家族の姿をとらえた写真集です。世界30か国で、平均的家庭とされる家族を選び、家の外に彼らの所有物を全部並べてもらい、一家の集合写真を撮るというコンセプトが面白いです。前半は家族の集合写真と日常生活のスナップ写真が、家族構成や所有物リスト、カメラマンの滞在レポートとともに収められ、後半は各国の統計データや家族のプロフィールなどがまとめられています。写真は補足されている情報とともに眺めることでよりじっくり観察することができます。屋外の集合写真は、その土地の景色や社会情勢を鮮明に伝えています。
 表紙を飾るマリの家族は陽干しレンガの家に暮らし、その町並みが目を引きます。同時に彼らの持ち物は驚くほど少なく、衣食住の最低限必要なものだけ。臼と杵が3セットもあるのは、穀物をついて食事を作る生活が中心なのだということがわかります。クウェートの家庭は24人用のソファや調度品の数々に目を見張ります。またこの本の中で唯一、携帯電話を片手に暮らす姿があります。ボスニアの家族は、銃を抱えた護衛兵が付き添っていて、所有物と並んで置かれている狙撃されたトラックや、住んでいる建物からは悲惨な状況がうかがえます。撮影当時、ボスニアは内戦が続いていました。最後を飾るのは日本の家族。私たちには見慣れた風景ですが、この写真を世界の人はどのように感じるのでしょうか。
 発行は1994年とすでに20年以上経っており、経済もテクノロジーもずいぶん変化しているので、いま現在の世界の姿とは違うかと思います。それでも、世界中の家族が同時期にどのような環境下で日常生活を送り、何を大切にして暮らしているのかということを見比べることができる点で貴重な本であると思います。
 世界中で協力家族を説得するのは大変な苦労だったようですが、なかでも不安材料だったのは日本だったとか。個人的なことを表に出したがらない文化的背景があり、日本でプロジェクトに協力してくれる家族を見つけられれば、世界中どこに行っても大丈夫だと思ったこと、撮影では、東京で一家の荷物を並べる場所を確保するのに苦労したことが挙げられています。
 著者の代表であるピーター・メンツェル氏は、アメリカ出身で、『ライフ』『ナショナル・ジオグラフィック』などに科学、環境分野の写真を提供する国際的報道写真家です。
 そして、この『地球家族』は続編がシリーズ化されています。それぞれ、世界の女性、食糧問題がテーマとなっていて興味深いです。すべて県立図書館に所蔵がありますので一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。

『地球家族 続 世界20か国の女性の暮らし』 TOTO出版 1997年 資料番号:21757174 請求記号:361.63/70/2   OPAC(所蔵検索)

『地球の食卓 世界24か国の家族のごはん』 TOTO出版 2006年 資料番号:21940945 請求記号:383.8RR/404  OPAC(所蔵検索)

『地球のごはん 世界30か国80人の“いただきます”』 TOTO出版 2012年 資料番号:22591945 請求記号:383.8/444  OPAC(所蔵検索)

(県立図書館:一番大切なものは家族です)