県民公開講座「夏休みかながわ子どもワクワク体験 16ミリフィルムで楽しむ子ども映画会」を開催しました

 7月29日に「夏休みかながわ子どもワクワク体験 16ミリフィルムで楽しむ子ども映画会」を開催し、「花さき山」、「吉四六どん」、「稲むらの火」を上映しました。

 「花さき山」は、新しい着物をねだる妹のために自分の着物を我慢した貧しい農家の娘が、山中で道に迷って美しい花の咲き乱れる場所で山姥に出会い、花の咲く訳を山姥から教わるという物語です。原作は、滝平二郎が挿絵を手がけた絵本で知られる児童文学作家・斎藤隆介で、今年、生誕100年を迎えました。

 「吉四六どん」は、大分に伝わる民話「吉四六話」が元となっており、『日本の民話 11』に原作が収められています。モデルは江戸時代に豊後国の野津市(現大分県臼杵市野津町大字野津市)に実在した豪農・広田吉右衛門といわれます。物語は農家の子どもである吉四六が、得意のとんちで侍や殿様まで負かしてしまう、という内容になっています。

 「稲むらの火」は庄屋の五兵衛が、村人たちに津波の襲来を知らせるため、大切な稲むらを燃やす、という物語です。1854年の安政南海地震による津波が紀伊国の広村(現和歌山県有田郡広川町)を襲った夜、ヤマサ醤油7代目店主・濱口梧陵が、村を回って稲むらに火をつけ、避難の目印にしたという実話が元とされています。なお、濱口は私財を投じて現在も残る堤防も築いています。この話を聞いた小泉八雲が「A Living God」(『新・ちくま文学の森12』に「生神」の題名で所収)を書きます。更にそれを読んで感動した和歌山県の日高郡南部町南部小学校訓導・中井常蔵が翻訳・再構成した「燃ゆる稲むら」が、当作品の原作となっています。

 講座では、「16ミリ映写機操作技術テキスト」(神奈川県図書館協会のホームページhttp://www.kanagawa-la.jp/publication/よりダウンロード可能)を参考に映写の原理や、映写機の構造について子ども向けの資料を作り、プロジェクターで説明を行いました。また、1834年にイギリスの数学者・ホーナーが発明した「ゾーイトロープ」という装置の模型(写真参照)を作り子どもたちにさわらせることで、残像現象について体験してもらいました。「ゾーイトロープ」とは、細長い穴が並んで開いている円形の装置で、円の内側に連続した絵が描かれており、円を回転させて穴から覗くと絵が動いて見えるというものです。
 会場には『花さき山』を始めとする斎藤隆介の絵本や、『ちゃっかり吉四六さん』『もえよ稲むらの火』などの児童書を展示しました。参加した子どもたちの多くは、休憩時間にそれらを熱心に読んでいました。また、映写機に惹かれた子どももいて、操作中に近くに来て興味津々で眺めていました。
 休憩時間には元気に声を上げたり走り回っていた子どもたちも、いざ上映が始まると泣いたり騒いだりせず静かに鑑賞している様を見て、改めて映画の持つ力というものを感じました。

(県立図書館 地域情報課講座担当)