資料紹介講座「漢詩の世界へようこそ 入門:―漢詩を読みとくための“あれこれ”―」を開催しました

「この漢詩の作者について知りたい」「この漢詩の一節から全文を探したい」などなど、当館では漢詩にまつわるご質問が多く寄せられます。そこで、3月4日(土)、当館のベテラン司書が講師を務め、漢詩を読みとくための“あれこれ”=“当館所蔵資料やインターネット情報”をご紹介する講座を開催しました。

 当日は、中国語による漢詩の朗詠CD(石川忠久著『新漢詩の世界』2006年 付属CD(資料番号:22536874))をご用意し、講座開始前の限られたお時間でしたが、本場の雰囲気をお楽しみ頂きました。ポスターや新聞広告などに使われ、私たちの暮らしにとけこんでいる漢詩。まずはユーモアを交えつつ身近な話題から紹介した後、漢詩の形式や読み方の基本など、基礎知識について確認しました。また、漢詩というと中国を思い浮かべがちですが、日本と漢詩(漢文学)との関係についても触れました。

 そして、いよいよ本題となる漢詩の調べ方へ。具体的な資料の紹介に入ると、どんどん皆さまの目の輝きが増していきます。特に多くの方の興味を惹きつけたのが、石川忠久編『漢詩鑑賞事典』2009年(講談社学術文庫)(資料番号:22292114)です。ハンディな見た目に反して内容が充実しており、講師おすすめの一冊でした。
 調べる際のポイントとしては、同一人物で複数の名前を持つ作者に気を付けることなどが挙げられました。有名なところでは、白楽天と白居易、蘇東坡と蘇軾などがあります。本の索引を使う時もそうですが、検索エンジンや蔵書検索を活用する場合でもキーワードの選択は重要です。そして、意外と多いのが覚え違い。「どうぞ、自分だけは大丈夫!と思わずにお調べになってください」と“注意喚起”する一幕もありました。

 さらに、県立図書館で漢詩を探す方法など、より実践的なご案内もありました。一般的に、当館を含む図書館では日本十進分類法に基づいて資料が並べられています。まずは漢詩の分類(919漢詩文. 日本漢文学、921中国文学の詩歌. 韻文. 詩文)を知っていれば、直接本棚に行って探すことが可能です。しかし、夏目漱石のように主に漢詩以外の分野で名を馳せた人もいます。あるいは、資料全体のテーマから判断して漢詩以外の分類になってしまう場合もあります。そのため、個人伝記(289)や中国の歴史(222)、叢書(080)などの分類も知っていた方が、探す際により便利ということでした。

 会場内には漢詩に関連する所蔵資料を多数展示し、「中国文学としての漢詩」「日本人・日本文学と漢詩・漢文」などの切り口から、読み物として楽しめる本もご用意しました。休憩時間になるとたくさんの方が見に集まってくださり、大変にぎわっていたのが印象深いです。この様子を受け、急遽、後半は講演中も資料を回覧することになりました。慌ただしくなってしまったところもありましたが、「資料について理解が深まった」といったお声をいただくことも出来ました。本講座をきっかけに、少しでも漢詩の世界や当館の資料を身近に感じていただければ幸いです。ご参加くださいました皆さま、ありがとうございました!

(県立図書館:調査閲覧課講座担当)