『ママ、もっと自信をもって』 中川 李枝子著

『ママ、もっと自信をもって』 中川 李枝子著 日経BP社 2016年 22877286 請求記号:M10 ナカ OPAC(所蔵検索)

 作家の「中川李枝子」と聞いてピンと来る方は児童書に興味をお持ちの方でしょうか。でも「ぐりとぐら」「いやいやえん」の作者と聞けば、知っている方は多いのではないでしょうか。他にも小学校の国語教科書に掲載の「くじらぐも」や「となりのトトロ」の主題歌である「さんぽ」の作詞などを手掛けています。

「ママ、もっと自信をもって」は情報サイト「日経DUAL」に連載されたもので、ご自身の子ども時代や保育士になってからのお話、児童作家になるまでの経緯などが書かれています。中川さんは17年間の保育士時代に作品を書くようになりました。それは子ども時代に読んだ本の影響から発生したものであり、子どもたちを喜ばせたくなって書いていたそうです。
「ぐりとぐら」は「ちびくろ・さんぼ」に出てくるトラのバターで作るホットケーキがきっかけであった事や、名前の「ぐり」と「ぐら」はフランスの人気絵本「プフとノワロー」からもらった事など興味深いエピソードが沢山載っています。
中川さんが保育園の子どもたちに教えてもらったこととして記されている中で印象的だったのは、子どもは遊びながら育つと信じているということです。子どもは子ども同士の遊びの中で社会性を養い、一人前になっていくといいます。私自身、子どもに我慢を覚えさせなくてはいけないと思い、悩んだことがありました。しかし子どもは遊びながら育つと受け入れることで、子育てがシンプルに考えられる様になった気がします。起きている間中遊んでいる子どもに、「早くしなさい!」で片付けてしまいそうな場面は沢山ありますが、子どもの気持ちに少し寄り添う手間をかけることで、目の前の子どもをもっと見られるようになるのかもしれません。

 後半には悩めるお母さんからの子育てQ&Aも掲載されています。未来の担い手を育てる母親は、時代の最先端にいることを自覚して堂々としていればいい。表題にもあるように「ママ、もっと自信をもって」と書いています。
 中川さんの代表作である「いやいやえん」は、子どもがいやだ!と思う気持ちを否定する事も肯定することもない世界が描かれていますが、その人のありのままを受け止めてくれる中川さんの考えは「いやいやえん」につながっていると感じました。

 本作に中川李枝子さんの著作リストが掲載されています。現在書店では品切れの本もありますが、神奈川県立図書館では「ちいさいみちこちゃん」「おひさまおねがいチチンプイ」「とらたとまるた」なども所蔵しており、貸出もしています。

(県立図書館職員 ふゆの ふゆこ)