『おわらない音楽 私の履歴書』 小澤征爾著

『おわらない音楽 私の履歴書』 小澤征爾著 日本経済新聞出版社 2014年 資料番号:22756233 請求記号:762.1/299 OPAC(所蔵検索)

 小澤征爾氏は世界で活躍する日本の指揮者です。2016年に81歳を迎えられました。
 2016年2月に小澤征爾氏指揮のCDアルバム、ラヴェル作曲の歌劇『こどもと魔法』(DECCA 2014年 資料番号:41348863 請求記号:CD15ラヘル)が、第58回グラミー賞クラシック部門「ベスト・オペラ・レコーディング」を受賞したのは、記憶に新しいのではないでしょうか。

 「世界のオザワ」と呼ばれる小澤征爾氏ですが、どれだけ凄い人なのか。それを再確認したのは、『小澤征爾さんと、音楽について話をする』(小澤征爾/村上春樹著 新潮社 2011年 資料番号:22570782 請求記号:760.4/406)を読んだ時でした。タイトルの通り、作家の村上春樹氏と小澤征爾氏が、音楽について対談している本なのですが、話に登場する人物がとにかく凄い。カラヤン、バーンスタイン、ルービンシュタイン…20世紀を代表する音楽家の名前が、小澤氏の知り合いとして次々に出てきます。クラシック界の歴史に名を残す数々の音楽家と同じ時間を過ごし、共に音楽を奏でてきた小澤征爾氏。いったいどんな生き方をされてきた方なのか、気になって次に読んだのがこの『おわらない音楽』でした。
 本書は、小澤征爾氏が生まれた時から、79歳までのことを綴った自伝的エッセイです。
小澤征爾氏は1935年9月1日、今の中国瀋陽市、旧満洲国奉天に生まれ、5歳の時に一家で日本に帰国しました。4人の男兄弟の三男坊でした。子供の頃からピアノを習っていましたが、裕福な家庭ではなく、親戚から譲り受けたピアノを、兄達が横浜から立川まで3日間かけてリヤカーで運んだというエピソードが書かれています。14歳の時にラグビーの試合で両手の人さし指を骨折してピアノが弾けなくなり、指揮者を志すようになったそうです。23歳の時、外国で音楽の勉強がしたいと考え、スクーターとギターを持って貨物船に乗り、単身ヨーロッパに向かいます。ヨーロッパへ渡って6ヵ月、権威ある「ブザンソン国際指揮者コンクール」で見事優勝! その後、カラヤンの弟子になり、ニューヨーク・フィルの副指揮者に就任します。しかし、25歳で凱旋帰国した小澤氏の日本での活動は、必ずしも順風満帆ではなかったようです。

 小澤征爾氏が困った時、いつも手をさしのべてくれる誰かがいます。家族、友人、師匠、音楽仲間、温かい人の輪に支えられて「巨匠」は生まれます。エピソードの一つ一つに小澤氏の感謝の気持ちが読み取れます。
 2010年74歳の時、食道癌の手術のため音楽活動休止を余儀なくされます。2012年にも体力回復のため1年間お休みされています。復帰後は「1回1回の音楽会により強い思いがこもるようになった」と、素晴らしい演奏を続けていらっしゃいます。若い音楽家の教育にも力を入れておられるそうです。
 小澤征爾氏の音楽がいつまでもおわらずに続いていくことを願っています。

(県立図書館:小澤征爾さんの生演奏が聴きたい)