初・夢想(ゆめ)

 新年あけましておめでとうございます。

 昨年は、4月に図書館に着任し、司書に薦められ映画「図書館戦争」を観ました。「図書館の自由」をテーマにした近未来的?仮想日本のお話ですが、SF小説・映画には、図書館がよく登場することを久々に思い出しました。

 お正月映画として?最新作が公開中の「スター・ウォーズ」シリーズ(1977年~)は、「A long time ago ……」と昔話のように歴史を振り返る形で始まります。同じく銀河宇宙を舞台にした、巨匠アイザック・アシモフの代表作「銀河帝国興亡史」シリーズ(1951年~)でも、再興した銀河帝国の百科事典から興亡史のエピソードを引用し、ストーリーが展開します。
 この小説では、崩壊していく銀河帝国の帝国図書館も重要な舞台となりますし、帝国再生のための百科事典の編纂組織に大きな役割が位置づけられ、「図書館」や「本」が物語の根底にあります。ここに、暗黒時代を通り抜け文明国家として銀河帝国を再興するには、過去の膨大な知見の蓄積と未来への発展的継承が不可欠である、との文明観が流れています。
 2002年にリメイクされた「タイムマシン」、監督は原作者H.G.ウェルズの曾孫さんですが、この映画では、科学文明が滅亡する未来において、ニューヨーク公共図書館のAI司書?がレファレンスを行います。ここでも、80万年の時の流れ、文明の消長が、タイムマシンだけでなく「図書館」を通して描かれます。

 AIと言えば、最近、棋士とAI棋士?との対戦が、囲碁や将棋で大きな話題になっています。図書館の世界でもひょっとしたら、近い将来、本の展示や講座の企画、レファレンスにおいて、「司書」とAI司書との勝負があるかもしれません。
 司書はこれに負けるわけにはいきません。AIによる過去のデータ、事象の分析や応用では生み出すことができない斬新な発想と感性で、図書館サービスを企画することが大事ですし、司書とAI司書がいっしょに利用者の皆様をお迎えする時代が、もうそこまで来ています。 県立図書館、川崎図書館では、司書一同、日々がんばって展示、講座などを企画し、近未来のAI司書との競争や協働に備えています。昨年から新年にかけては、「日本遺産・大山詣り」、「世界遺産ル・コルビュジェに師事した建築家・前川國男」、「かながわ歌枕」「女性の活躍」「子どもの貧困」、「箱根の火山」、「産業の塩・ねじ」、「日本一のコレクション・社史」などの、神奈川の魅力や誇り、社会の課題、話題に着目し事業に取組んでいます。

 新しい年を迎え、二つの「図書館」が、SFの図書館のように神奈川や社会の発展の踏み台になり、そして、AI司書に負けないよう本の魅力や情報を発信し、皆様のニーズや探究心にお応えしていきたい、こんな取り留めのない「初・夢想(ゆめ)」を見ました。

「本」と「司書」は、皆様のご利用をお待ちしております。

(県立図書館長・県立川崎図書館長 井出康夫)