2月25日から26日まで、被災資料救出ボランティアに参加してきました!

上が薄葉紙で包む前、下が包んだ後です。

 東日本大震災で被災した、宮城県気仙沼市の大島漁協文庫の資料を保護するボランティアを神奈川大学が以前から進めていて、今回これに職員2名が参加いたしました。過去に関連記事もありますので、よろしければご覧ください。「気仙沼市大島の文書救出ボランティアに参加して」(2011年)「気仙沼大島の文書救出ボランティア その後」(2014年)

 今回の主な作業は痛んでバラバラになりそうな資料を薄葉紙(とても薄くて柔らかい紙です。陶器の包装に使われたりもするので、ご存じの方も多いかと思います。)で包んで保護する作業です。私が参加した時点で、すでに資料はある程度整理されて完成した書架に並べられていたので、かなり整った状態に見えました。
 さて、いざ作業に取り掛かると資料が湿っぽいことにボランティアメンバーの一人が気付きます。以前の作業で「真空凍結乾燥」という方法で水分を抜いてあったのですが、この作業では塩分が取り除かれません。どうやら塩分が湿気を呼び、資料を湿らせてしまったようです。また、塩分は資料についていたクリップやホチキス針を錆びさせ資料を痛めていました。水分の除去は今回できないのですが、クリップやホチキス針を取り除きながら資料を包んでいきます。
 既製の保存箱(中性の厚紙で覆うことで、外気の変化やほかの資料とのこすれによる損傷などから資料を保護することを目的とした箱)の用意もあったので、サイズが合うものはそちらに入れました。しかし、圧倒的にサイズの合わないものが多く、オーダーメイドの大切さを痛感しました。サイズの合わないものを箱に入れると、中で資料が動きかえって資料を痛める原因になってしまいます。また、大きすぎるものを無理やり箱に入れると本に余計な力がかかるため、これも本が傷む原因になります。「司書の出番!」には資料保存について詳しく書かれた記事もあるので一読してみてください。「資料の傷みはこうして防ぐ(2)-保存箱」(2011年)

新築でピカピカの書庫です。大まかな分類番号順に並んでいます。

 ところで、今回は資料の保護の他に分類番号をどうするかという課題がありました。一定量以上の資料があると、分類番号なしには目的の資料にたどり着けなくなってしまいます。大きな分類番号は大島の郷土史家・千葉勝衛(チバ カツエ)先生がつくって下さったのですが、書架の中での並び順を決める小さい分類番号がまだ決まっていませんでした。大島漁協文庫の場合は資料の総数がさほど多くなく、これから蔵書はほぼ増えないということだったので、出版年順に並べその上でさらにタイトル50音順に並べることで対応できないかということになりました。日本の図書館では、大体の場合NDC(日本十進分類法)が使われています。これはいろんな種類の資料を広範に扱っている場合にはいいのですが、大島漁協文庫のようにある分野に特化している資料群を扱う場合にはあまり適していません。正直なところ、私はNDCの応用でなんとかならないかと思っていたのですが、今回の経験から本当は図書館や文庫の特性によって適切な分類方法を見つけたほうが利用しやすくなるのかもしれないと考えるようになりました。

大島漁協文庫外観。とてもカッコイイです。

 今回は文庫の落成式にも立ち会うことができ、非常に幸運な参加の仕方ができました。大島漁協文庫の建物は神奈川大学の重村力先生によるデザインで、ちょっと船のような形に見える、とてもカッコイイ建築です。屋根が少し上向きに設計されていて、これを建築するには大工さんに熟練の技が求められると伺いました。これを聞いて、設立に向けて活動した方たちのこだわりの文庫が完成したことが実感されました。また、今回の宿泊先であった旅館・黒潮さんでは地元の食材を使った大変おいしいお食事をいただいて(めかぶのしゃぶしゃぶを初体験しました。ちょうど旬の時期だったそうです。)、文庫までの送り迎えも担当していただいて、周りの方々の協力をひしひしと感じる活動でした。

 ボランティアからはわき道にそれるのですが、最後にリアス・アーク美術館にも立ち寄りました。ここでは、気仙沼の「食」をテーマにした常設展示と「東日本大震災」をテーマにした常設展示が設けられていました。「食」の展示では民具(実際の生活で使われていた道具)がたくさん展示されており、迫力がありました。また、展示の説明にかわいらしいイラストと方言での説明が添えられていて、楽しい雰囲気でした。「東日本大震災」の展示ではキャプションとして、被災した方々のコメントが回収された被災物のようにチャック付きビニール袋に入れられて展示してありました。状況を客観的に説明するキャプションよりも身に迫って感じられ、大変印象深い展示でした。
 今回の活動は、普段私たち職員が当たり前に使っている分類番号や保存箱について改めて考える機会になりました。普段は「既にあるもの」として深く考えることがあまりないのですが、図書館を運営するときに実感以上に大切な役割を果たしていることが分かりました。また、資料をどう利用に供するかということが大きな課題です。リアス・アーク美術館で見たコメント風キャプションのような、身に迫るアプローチの仕方は無いものでしょうか。考えることは、まだまだ山積しているようです。
 今回は本当にいい経験をさせてもらいました。参加させて下さった方々に深く感謝いたします。

(県立図書館 司書見習い)