図書の寄贈はありがたくも悩ましい

 みなさんは、図書館の本ってどんなルートで入ってくると思いますか? もちろん、書店から購入するものが多いのですが、それに近い点数が“寄贈”という形で入ってきます。寄贈本には官公庁・団体・企業等の市販されない出版物が多数あります。また、個人の方から貴重書や当館が必要とする本をいただくこともあります。その意味で、この図書館の蔵書は寄贈によって支えられている(!?)といえるかもしれません。ですから、「ぜひご寄贈をお願いします!」といいたいところですが、個人寄贈についてはそういう訳にもいかない事情があります。

 例えば、ご自身やご家族の不要になった蔵書。本を大切にしたいという気持ちからのお申し出と推察します。しかしながら、こういったものはしばしば既に所蔵しているか、あるいは所蔵していない場合でも、発行された時点であえて当館の蔵書にするまでもないと判断したものが多いのです。したがって、寄贈のお申し出をお受けするのは、「当館が入手できなかった、あるいは亡失や汚損で除籍されたので、いただけるならぜひ蔵書に加えたい本」ということになり、ケースとしてはかなり限られます。
 また、昨今多いのが自費出版の本です。創作(文章、絵、写真等)を趣味とされている方々のひとつの発表の場となっているのでしょう。その中には素敵な作品もあり、人の心を打つのは必ずしもプロの作品とは限らないと感じます。しかし、玉石混交なのも事実です。個人の方のプライベートな思いが強い作品は、整理のコストや保存のためのスペースを考えると、受け入れるのはなかなか難しいといわざるをえません。
図書館の寄贈担当は、こういった図書館の事情とご寄贈くださる方の思いとの間で板挟みになりながら、寄贈本一冊一冊と向き合うことになります。では、寄贈担当はどんな点を見ているのでしょうか? まず、タイトルと著者の略歴を見て、取り上げられているテーマ、著者の方の専門・実績等を確認します。それらが不明確なものはやはり評価が下がります。次に、目次、序文・跋文、参考文献の記載等を確認します。目次や参考文献から、論理的・客観的記述がされているかおおむね判断できますし、序文・跋文からは、発行の経緯や著者の意図が読み取れます。これらを判断材料として、公共図書館にふさわしい本かどうかの観点から、受け入れる本を決めていくのです。
 本の発行や処分の際に、まず図書館を思い浮かべる方は、おそらく図書館を身近に感じてくださっているのだと思います。その意味で、図書館にとってありがたく心強い存在でもあります。「寄贈してみようかな…」と思ったのをきっかけに、図書館について理解を深めて、上手に利用していただけると、寄贈担当の悩みがちょっぴり減るかもしれません。

(県立図書館 寄贈図書担当)