平成27年度 文字・活字文化の日記念講演を開催しました

 10月25日(日)に、恒例の「文字・活字文化の日記念講演」を開催しました。
 今年は、吉祥寺で2009年よりひとり出版社である夏葉社(なつはしゃ)を営み、これまで16冊の本を生み出してきた島田潤一郎(しまだじゅんいちろう)氏に「1冊の本を1人の読者に届けたい ― ひとり出版社 夏葉社の試み―」と題してご講演いただきました。
 ひとり出版社とは、本の企画・編集から営業・販売まですべてを、文字通り一人でこなす小規模な出版社のことです。埋もれた名著や入手困難になって久しい絶版本の復活など、ミリオンセラーにはなりませんが、小さなヒットを生み出して、本好きの間で注目を集めています。最近では「“ひとり出版社”という働きかた」(西山雅子編 河出書房新社 2015年 023.1/450 22821516)という本も出ており、今回ご講演いただいた島田潤一郎氏も取り上げられています。
 当日は、お天気にも恵まれ、午前中は肌寒いくらいだった会場が汗ばむほどに。あわてて窓を開け、扇風機を回しましたが、アンケートでは何名かの受講者の方から暑さについてご指摘を受けました。
 ご講演は、なぜひとり出版社を立ち上げたのか、という夏葉社の成り立ちから、最初に取り組んだものの発行までに2年間を費やし、4冊目の発行となった「さよならのあとで」、その間に発行された1冊目、2冊目の本を通しての出会いなど、講師の出版にかける思い、本に対する考え方などについてお話しいただきました。
 1人の出版者が1冊の本を出版して、1人の書店員がその本を良いと認めて並べてくれるという、単なる「ビジネス」とは異なる関係を築いている、というお話しや、良い本かどうかは読者が決めるものだというお話しが印象的でした。
 出版社をつくるのは多少の資金があれば簡単で「皆やればいいのに」と最初は思っていたけれど、7年たって、「リスキーだからやらない方がよい」と考えるようになった、など笑いを誘いつつ、具体的な数字なども挙げながら真摯にお話しいただきました。
 受講者の皆さんは講演に引き込まれて、大変熱心に聞き入っていました。質問も終了間際まで活発に出ていて、盛況でした。ご自身でも出版社を立ち上げた方や、出版業界にいる方からの具体的な質問も見られました。
 終了後、ご協力いただいたアンケートを集計したところ、8割以上の方が「満足」「やや満足」と答えられており、講師に対して「これからもがんばって」と応援メッセージを寄せられる方もあって、好評のうちに閉会することができました。

 過去の県立図書館、県立川崎図書館の「文字・活字文化の日記念講演」に関する記事についてはこちらをご覧ください。
(県立図書館図書課 文字・活字文化の日記念講演担当)