「旧鎌倉図書館」見学記

(昨年12月以降、その解体をめぐりにわかに注目を集めている「旧鎌倉図書館」。その見学会に参加した当館職員のリポートです。)

旧鎌倉図書館 平成27年(2015)2月10日、「旧鎌倉図書館」の緊急見学会が市民団体「図書館とともだち・鎌倉」主催により開催されました。
 当日は、当初2回予定のところ、申込多数のため3回実施となり、全部で100名を超える参加があったようです。参加者からは「子どものころ使っていました…」とか「この部屋でレコードコンサートが開催されていましたね」といった懐かしむ声が聞かれるなか、現在は一般には入る機会のない館内を見せていただきました。

婦人閲覧室

婦人閲覧室

 

 同館は昭和11年に篤志家・間島弟彦(マジマ オトヒコ)の資金により建設され、現中央図書館の開館(昭和49年)まで図書館として利用されたもので、御成小学校(オナリショウガッコウ)に隣接した敷地内にあります。木造2階建ての外観は、戦後に作られた玄関部分を除き、建築当時の面影を残す建物となっており、白壁に整然と並ぶ縦長の窓が印象的です。内部は、1階が児童閲覧室、2階が一般の閲覧室として使われていたそうですが、一般閲覧室には、男女を分ける必要から「婦人閲覧室」が設けられていたあたりに時代を感じます。この畳敷きの「婦人閲覧室」が当時の雰囲気を一番よく残している部屋です、との説明がありました(写真参照)。全体としては、図書館として使われた当時の様子を窺い知ることができるものはあまり残っていない印象でしたが、書庫の急な階段と書庫最上層(3層)は残っており、くぎを使わずにつくられたものという木製の書架が図書館の名残を残していました。また、書庫を上り下りするエレベーターやリフトは設置されておらず、「この図書館で働くための第一条件は体力があること、と鹿児島さん(元鎌倉市図書館長)から聞いたことがあるけれど本当ね…」とお話されている方もいらっしゃいました。
旧鎌倉図書館 鎌倉の図書館は明治44年に鎌倉小学校(現第一小学校)敷地内に造られたものに端を発し、今回見学した図書館を経て現在の中央図書館へと100年の歴史を刻んできた県内でも最も歴史ある公共図書館です。その一時期を担ったこの「旧鎌倉図書館」に思い出のある市民の方も少なくないようで、当日見学者に配布された文集『旧図書館と私(その一)』からは、その一端を窺い知ることができます。この文集は、「図書館とともだち・鎌倉」が呼びかけて、同館にまつわる思い出や解体のニュースに触れての感想を集め冊子にしたもので、今後更に声を集め、旧図書館に関する記録文集となるようなものを目指しているとのことでした。

 今回の見学会で印象に残ったのは、建物そのもの以上に、閉館後数十年が経過した小さな図書館が、多くの市民の方々に愛着を持って今なお記憶されていることでした。これは、鎌倉の図書館が市民の皆さんの生活のなかに溶け込んだ、身近な図書館として運営されてきたことの表れではないかと思うとともに、自らも日々関わる図書館の仕事について、改めて考えさせられる機会となりました。
 見学会に参加させていただき、ありがとうございました。

(県立図書館職員:鎌倉市図書館100年のポスターの絵はこの建物だったのですね!)