『和菓子噺』 薮光生著

和菓子噺『和菓子噺』 薮光生著 2006年 キクロス出版 資料番号:21957055 請求記号:588.36/10 OPAC所蔵検索

 和菓子はお好きですか? 子どものころはあんこが苦手でした。同じ甘いお菓子でも、ケーキやチョコレートなら大歓迎だったのですが。著者もお酒と料理については人並み以上に関心があったものの、「甘いものは甘いものにしか過ぎない」と思っていました。それが和菓子関係の仕事をするようになり、和菓子を知ることで認識が一変したようです。そこで和菓子のはなしです。
 第一章では、和菓子には日本人の生活文化と共に歩んできた長い歴史があり、日本人をとりまくあらゆる環境と密接に結びついて発展してきたと述べています。また、「食」は「食べた時に形を失ってしまう」けれど、それが「食文化」として続いているのは、それぞれの時代において「生きて」受け継がれているからで、ことに和菓子の場合は年中行事や人生儀礼との深い結びつきがあるからだとしています。確かに、お正月、ひな祭り、端午の節句、初節句とその時々にまつわる和菓子があります(それで子どもの頃は困ったのでした)。また、「和菓子は五感の芸術である」という言葉を引用し、和菓子の奥深さや楽しみ方を説明しています。
 第二章では、和菓子の歴史をたどります。日本で食べられていた一番古い菓子から始まり、餅が日本最古の加工食品で神聖な食べ物として扱われていたこと。外国の文化が新しい調理法を伝え、和菓子を発展させたこと。江戸時代には戦のない世の中で、和菓子を楽しむ余裕が生まれ、職人の技術も向上し、多くの文化の発展する中で和菓子も発展していったとあります。また6月16日は和菓子の日だそうです。なぜこの日なのか。それはどうぞ本書の中で。
 第三章では、和菓子の季節感、手作りの仕事といったことが書かれています。ほんの少し季節を先取りする和菓子、同じ菓銘の和菓子でも店によって風情や味わいが違い、眺めるだけでも楽しいものです。
 第四章から第六章にかけては、和菓子の種類や材料、菓銘の由来、栄養面など具体的に和菓子そのものがわかることが書かれています。一口で砂糖、粉と言っても種類の違いでまったく違った味わいの和菓子ができあがります。なじみのある和菓子にも、地方の特色や時代背景がかくされているのです。そして栄養に関しては、心身ともに有効と述べています。
 最後の第七章では、和菓子でのおもてなしの仕方、意外な飲み物との相性、保存の方法などちょっとしたお得情報があります。
 本書はわかりやすい言葉で書かれており、和菓子について全体を広く理解するためにはよい一冊だと思います。どうぞお気に入りの一品を見つける一助にしてください。

(県立図書館職員:今は何でも食べます)