今年も「子ども読書推進活動フォーラム」を開催しました!

末盛千枝子氏 フォーラムの講演をどなたにお願いするか…、なんとなく考えていた時のこと。末盛千枝子さんの「3.11絵本プロジェクトいわて」(以下、絵本プロジェクト)の活動の軌跡をまとめた本『一冊の本をあなたに 3.11絵本プロジェクトいわての物語』の出版記念シンポジウム開催を伝える新聞記事[朝日新聞 2013.3.19(夕刊)]を見つけました。
 今、改めて震災に関わる活動について考えるのもいいかもしれない、それに、末盛千枝子さんなら、絵本について、独自の価値観で語っていただける…と思ったのが、今回のフォーラムの第一歩でした。とはいえ、そんな国際的にもご活躍の先生に講演をお引き受けいただけるのか…、不安ばかりが先に立つ思いでの依頼でしたが、大変快くお引き受けくださり、それは本当にうれしい瞬間でした。
 一方、このフォーラムは、県内で子どもの読書に関わる活動をされている方々に、その様子などを発表していただく場にもしたいと考えており、例年、読み聞かせの実演や活動報告をしていただいています。そこで今回も、長い活動実績のある「すずの会」(小田原市)「おはなしばる~ん」(伊勢原市)の皆さんに発表をお願いしました。
 加えて今回は、横浜市中区の「モック・プロジェクト」(以下、モック)の活動も、末盛さんのご講演とともに報告いただきたいと発表をお願いしました。「モック」は、日ごろから地域で読み聞かせなどを行っている複数のボランティアグループが協働して、横浜市中図書館を拠点に立ち上げたプロジェクトで、震災後、「絵本プロジェクト」に多くの本を送る活動に取り組みました。

 さて、末盛さんのご講演は、「絵本プロジェクト」の活動を通してみた被災地の人々の姿からお話が始まりました。その中で、絵本『わたし』(谷川俊太郎・作 長新太・絵)を紹介しながらのお話は、大変印象的でした。
 『わたし』は、「わたし」という女の子が、多面的な存在であり、様々な関わりや役割をもって一人の人間として存在していることがわかる哲学的な絵本です。末盛さんは、震災で多くの方が亡くなられた現実のなかでこの絵本を思い出したとき、これは「わたし」をとりまく関係がまるごとなくなったんだと思った、と話されました。そのお話は、絵本が持つ”伝える力“と、末盛さんご自身が見聞きし感じたことが重なって、強く、深く伝わってくるものでした。
 また、そのほかにも、ご家族のことも含めたこれまでの経験などにも触れながら、「すえもりブックス」の絵本や、『あさになったのでまどをあけますよ』(荒川良二著)、写真集『The Family of Man』(Edward Steichen著)等々…、絵本に限定せず、末盛さんご自身の言葉で、それぞれの本の素晴らしさを語ってくださいました。
 そして、最後は震災復興支援ソング「花は咲く」の映像を流し、講演を締めくくられました。
 
事例発表の様子 フォーラム後半は、事例発表です。
 「モック」の活動報告では、いち早い活動の立ち上げや丁寧な作業の様子などが伝えられ、参加者からは、その行動力や熱意、実務の堅実さに感動したという声が多く聞かれました。
 また、「すずの会」「おはなしばる~ん」の実演は、日ごろの活動の成果が遺憾なく発揮された楽しい時間となりました。あっという間に会場を一つにしてしまう発表は、“プロのよう…”という感想が聞かれるほどで、フォーラムを、楽しくなごやかな雰囲気で締めくくることができました。

 ご参加下さった皆さんが、このフォーラムを通じて、何か感じたり、考えるきっかけを得たりしていただければ幸いです。
 ご講演くださった末盛さん、事例発表をしてくださった皆さん、そしてご参加くださった皆さん、ありがとうございました。

(県立図書館職員:子ども読書活動推進フォーラム担当)