文字活字文化の日記念講演 「辞書を読む ~言の葉茂る大樹の下で~」

文字活字文化の日記念講演 平成17年の「文字・活字文化振興法」の施行以来、10月27日の記念日前後に毎年行っているこの講演会。今年は、いかにもこの日に相応しい「辞書」がテーマ。昨年に引き続き、福田武史先生をお迎えしてお話していただきました。
 ちょうど台風が二つも近づいてきていた時期で、企画実施担当としては、ハラハラしましたが、会場は雨模様の中を来てくださった受講者で埋まり、熱意あふれる雰囲気で始まりました。

 講演は、辞書とは、ことば(=言の葉)を集めた本であるという定義から、だからこそ辞書は言の葉茂る大樹と言えるということから始まりました。そして、辞書について、一般に理解されていない3つの点があることを、たくさんの解り易い事例を示して説明されました。
 第一は辞書には個性があること。個性を知るためには、まえがきと凡例を必ず読むことが必要であること。まえがきにはその辞書の特徴、「ウリ」が書かれているのです。実際にその「ウリ」部分を追っていった資料の面白いこと!英語の辞書の例には、英語の苦手な私にも、「これを追っていくと、生きた英語が身につくかも」と思わせてしまうものでした。
文字活字文化の日記念講演 第二に知っている言葉こそ辞書をひいて読むべきこと。私たちは、知らない言葉は引いても、良く知っている(つもりの)基本的な言葉は、なかなか辞書をひいて読むことをしません。ですが、そういう基本語彙ほど引いてみる価値があるのでした。基本語彙には驚くほど多くの使い方があることや、作品が書かれた時代によって同じ文章でも読みや解釈が変わってきてしまうこともわかります。
第3に辞書は引いて勉強が終わるのではなく、勉強のスタート地点であること。辞書を読んでいると、「おや?」という語義や用例にぶつかることがあります。思ったら、その出典に当たってみます。そうすると、新しい勉強の種になっていくのです。
 まとめとして、辞書を読み学ぶことの意義は、言葉こそこの世界を意味づけているものだからであり、言葉を学ぶことはこの世界の意味を学ぶことだと強調されました。

 先生は、言の葉の世界樹の茂みを一つ一つ探っていくのが楽しくて仕方ないという、熱い口調でお話をなさいます。受講者の皆さんも講演に引き込まれて、時に笑いが起き、うなづき、メモをとって、たいへん熱心に聞き入っていらっしゃいました。会場が「もっとお話を聞きたい」「早く自分も辞書をひいて読みたい」という一体感のある、何とも言えない良い雰囲気の講座となりました。講演後には受講者の方の実体験感覚溢れるご質問にみんなが笑顔で聞き入るなど、質問も活発に出ていました。
受講者アンケートは絶賛の嵐という感じで、言の葉と辞書という新しい世界に触れたワクワク感がたくさん書かれていました。 “次回”を望むお声が多かったのも特徴でした。
 会場の雰囲気、アンケート結果、会場に展示した資料を借りていた方も複数いらっしゃったこと、どれも担当としてはとても嬉しかったです。先生と受講者の方々に大感謝です。

 昨年度は『古事記』、今年度は「辞書」のお話。カナダの大学では英語で漢文のワークショップをなさるなど、幅広く知識の引き出しをお持ちの福田先生。次の機会(いつかな?来年も?)にはどんなお話を伺えるのか、今からとても楽しみです。

(県立図書館職員:文字・活字文化の日記念講演担当)