DVDフリー上映会『上原まりと平家物語』

上原まりと平家物語 5月も終わりの30日、外気には既に初夏の気配が漂う中、当館で初めての試みとなるDVDフリー上映会を好評のうちに終えることができました。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。

 県立図書館で所蔵しているDVDをもっとたくさんの人に観てもらいたい、知ってもらいたいという思いから企画されたこの上映会。記念すべき第1回目に選ばれたDVDは『上原まりと平家物語』今年のNHK大河ドラマでも取り上げられている「平家物語」を、元宝塚女役トップである上原まりが筑前琵琶をかき鳴らして語るという内容のDVDです。
 「平家物語」というと、鎌倉時代に生まれた数多くの軍記物語の中でも最高傑作との呼び声が高い古典作品です。さまざまな伝本がありますが、その中でももっともよく知られているのが、盲目の琵琶法師たちが琵琶の調べに乗せて語った平曲(へいきょく)でしょう。上原まりが奏でるのは、明治になってから福岡県博多の琵琶法師によって始められた比較的新しい琵琶である筑前琵琶。冒頭から「ビーン」という体全体に響く琵琶の音と朗々とした声で語られる「祇園精舎の鐘の声」が、観る人を一気に引き込んでいきます。とはいえ、当時の言葉で語られる平曲を聴いて味わうためにはかなりの知識量が必要となり、敷居が高いのも事実。このDVDでは上原まりの平曲に加えて、「平家物語絵巻」や平家縁の土地の美しい風景などを紹介しながら平家一門の盛衰を描いているので、「平家物語」についてよく知らない人でも充分楽しめる内容になっています。どれほど栄華を極めようと、平家一門を待っているのは滅亡の悲劇。哀切漂う琵琶の音はそのことを暗示しているようで、最後に「ただ春の夜の夢のごとし」と語られるところでは、感無量の思いがこみ上げてきました。

上映会の様子 今回は初の試みであったにも関わらず、50名もの方が当館まで足を運んで下さいました。ありがとうございます。鑑賞後、もっと「平家物語」や「琵琶」について知りたいと尋ねて下さった方もいらっしゃいました。大変うれしかったです。次回のフリー上映会は11月28日(水)の予定です。内容は近々ご案内いたしますので、ぜひ、みなさまお誘いあわせの上、当日ご気軽にいらして下さい。お待ちしております。

※「平家物語絵巻」は、
『平家物語絵巻』小松茂美編 中央公論社1990-1992(全12巻 読み下し掲載)などで見ることができます。

(県立図書館職員:能はいつも寝てしまいます)