7月2020

『働くということ 実社会との出会い』黒井千次著

『働くということ 実社会との出会い』 黒井千次著 講談社 1982年 資料番号:110428745 請求記号:J1/クロ OPAC(所蔵検索)


 『働くということ』は、1982年に出版されていますが、最近この本を原作とした『漫画 働くということ』講談社(池田邦彦著)も出版されています。昭和-平成-令和と、世の中も働き方も大きく変わったはずなのに、今なお読み継がれている理由はどこにあるのでしょうか。

 これは、著者が大学の掲示板で企業の求人や就職試験の案内を目にした就職活動時より、1955年から15年間富士重工業株式会社にて勤めた体験の手記を本にしたものです。理論ではない、働いた経験から生まれてきた思いが綴られています。 続きを読む・・・

『まわりまわって古今亭志ん朝』志ん朝の仲間たち著

『まわりまわって古今亭志ん朝』 志ん朝の仲間たち著 文藝春秋 2007年 資料番号:22083182 
請求記号:779.13SS/49 OPAC(所蔵検索)


 2001年10月1日に咄家3代目古今亭志ん朝が亡くなり、20年近く経ちました。
 5代目古今亭志ん生の次男として生まれた志ん朝は1957年(昭和32年)に実父・志ん生の元に弟子入りしました。偉大な志ん生の血筋を引き、彼は前座時代から才能ある咄家として周囲から一目置かれた存在だったようです。そして、人との関係性を大切にし、人一倍気遣いをする姿や師匠になってからも誰よりも稽古に励む様子に、同期会メンバーをはじめ、若手の咄家や演芸場の主人たちなどから、大変慕われていました。また、志ん朝は落語界初の同期会を立ち上げたり、池袋演芸場での二ツ目勉強会を発起するなど、様々な新しいことに尽力しました。 続きを読む・・・

『エリザベスの友達』村田喜代子著

『エリザベスの友達』 村田喜代子著 新潮社 2018年 資料番号:23065832
請求記号:913.6/3889 OPAC(所蔵検索)


 私自身が身内の「介護」や「認知症」を意識する世代になりました。この小説は認知症を扱っていますが「認知症」=「不幸」ではなく、自分が生きた時代を反芻する人たちの心の景色を見るようで、不思議な安らぎや豊かさを感じることができました。

 老人ホームで暮らす97歳の認知症の初音さん。初音さんを思いやる娘の満州美と千里。同じホームの乙女さん、牛枝さんも初音さんと同じ時代を生きぬいた認知症の人たち。皆、心は十代を自由に行き来しています。
 満州美は認知症の人たちを、テレビで見た断崖絶壁に張り付く山羊に例えます。「まとまらず、自分だけの断崖にたった一人で張り付いている。滑落しそうでも全然堕ちなくて、助けに行けない場所に引っかかっている」と。 続きを読む・・・