図書館のしごと

県職員生活を振り返って

 2017年3月、県立の図書館を退職する司書は4人います。「県立の図書館に一番長く勤務している人」へと執筆依頼があり、就職当時に思いを馳せ、書き始めました。しばし、昔話にお付き合いください。
 1978年4月、県庁で辞令を頂き、車で迎えに来てくださった事務の方に連れられて着いた先は、藁葺き屋根の残る川崎市多摩区(現在は麻生区)の県立高校でした。『子どもの頃、授業では「川崎は公害の町」と習ったのに、藁葺き屋根?ここは一体どこ?』と衝撃を受けました。私の就職1日目は、こんな思いから始まりました。
 新設3年目の学校は、 続きを読む・・・

みんなで、面白がって!

ダムウェーター(小荷物専用昇降機)

(この3月に退職を迎える職員に、図書館での仕事について振り返っていただきました。)

 1997年4月、私は県立川崎図書館に異動しました。当時、文書作成はワープロでしたし、館内のPCは1台だけに「これはwindowsです」と貼紙がしてある時代でした。蔵書検索のKL-NETはパソコン通信で、「コマンド」を一つ一つ覚えていきました。国立国会図書館の「NOREN」、JST(現・科学技術振興機構)の「JOIS」は、つなげるだけでも時間がかかり、検索自体も難しくて、頭を抱えたものでした。悪戦苦闘しているうちに、翌年の「科学と産業の情報ライブラリー」へのリニューアルオープンの準備が始まりました。大量の資料を移動させていたある日、書庫の中で魚を焼くような匂いが?!なんとそれは、ダムウェーター(小荷物専用昇降機)のオーバーヒートによる匂いでした。その後、長時間連続使用してはならない、という指示が出て、(人間はともあれ)ダムウェーターには十分な休養を取らせることとなりました。職員総出で階段に並び、大量の資料をバケツリレーよろしく手渡しで運んだことも懐かしく思い出されます。 続きを読む・・・

「大旆のデジタル撮影」

 神奈川県立図書館には、図書や雑誌といった、いわゆる“本”の形をしたもののほかにも所蔵している資料があります。その中でも群を抜いての“大物”が「大旆(たいはい)」と呼ばれる2旒(にりゅう)の旗です。横2メートル弱、縦は3メートルを大きく超える、ビッグサイズな図書館資料です。
 明治5(1872)年に起きた「マリア・ルス号事件」で当時の外務卿副島種臣(そえじまたねおみ)と神奈川県権令(県知事)大江卓(おおえたく)に送られたという、貴重な資料です。

 大旆とマリア・ルス号事件についてはこちらもご覧ください。

 ですが、このサイズとなると、「ちょっと見せてください」と言われてすぐにお出しする、ということはできません。まず、広げる場所が閲覧室にはありません。また、約140年前の布製の旗に刺繍と金文字で装飾や文字が描かれているというこの資料は一度広げたり仕舞ったりするだけで破損が進む可能性があります。(写真は、撮影費用見積のために広げている様子)
 かといって、ずっと仕舞ったままでは「なんのために図書館にあるのだ」ということになります。
 そこで、今回、この大旆2旒をデジタル撮影することにしました。これで、大旆を見たい人はいつでも(モニターを通してですが)大旆を見ることができるようになります。 続きを読む・・・