やさしい科学しんぶん  No.71(2017.8)

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宇宙探査(うちゅうたんさ)

   先日、土星(どせい)探査機(たんさき)カッシーニがはじめて土星(どせい)と輪(わ)のあいだを通過(つうか)したことがニュースになりました。1997年10月に打ち上げられてから20年も宇宙を旅しています。しかし、燃料(ねんりょう)が残(のこ)りわずかになってきたため、今年9月に予定している土星の大気圏(たいきけん)突入(とつにゅう)という最後の観測(かんそく)任務(にんむ)で長い旅を終えることになっています。今回は、宇宙探査について調べてみましょう。

■なぜ宇宙(うちゅう)を調(しら)べるの?

   昔の人々は、夜空(よぞら)に点々(てんてん)と光(ひか)り輝(かがや)くものはなんだろう?と不思議(ふしぎ)に思っていました。その不思議をさぐるために、望遠鏡(ぼうえんきょう)が作られ、ロケットが作られ、さらには人類(じんるい)が地球をはなれ宇宙へ行くまでになりました。しかし宇宙をさぐるには、とてつもない費用(ひよう)がかかります。なぜ、それほどまでして宇宙をさぐるのでしょう?
   宇宙が誕生(たんじょう)したのは、今から約138億(おく)年前(ねんまえ)に起(お)こったビッグバンという大爆発(だいばくはつ)によるものと考えられています。ビッグバンによって発生(はっせい)した電磁波(でんじは)は、今も宇宙にただよっていると考えられ、その電磁波をとらえることは宇宙誕生のなぞを解(と)く手がかりになります。宇宙の誕生がわかれば、私たちの住む地球についても、もっと詳(くわ)しく知ることにつながります。


ロケットの歴史、宇宙での生活、惑星探査など宇宙開発について、たくさんの写真でわかりやすく解説されています。
『宇宙旅行(見て読んで調べるビジュアル&アクセス大図鑑シリーズ2)』 著/イアン・グラハム 監修/寺門和夫 出版/ランダムハウス講談社 2007年 請求記号538


■人類(じんるい)が月へ 月の探査(たんさ)

   1950年代(ねんだい)後半(こうはん)、旧(きゅう)ソ連(れん)(現在(げんざい)のロシア)とアメリカは宇宙(うちゅう)開発(かいはつ)で競(きそ)っていました。旧ソ連が1957年に世界初の人工衛星(じんこうえいせい)を打ち上げると、アメリカも続(つづ)いて1958年に人工衛星を打ち上げます。その後旧ソ連は、1961年にユーリー・ガガーリンを乗(の)せたボストーク1号が地球の大気圏外(たいきけんがい)を一周(いっしゅう)し、人類(じんるい)史上(しじょう)はじめての宇宙(うちゅう)飛行(ひこう)を成功(せいこう)させました。いつも一歩先(いっぽさき)を行く旧ソ連に負(ま)けられないアメリカは、人類が月を目指(めざ)すアポロ計画(けいかく)を立てます。
    アポロ計画は、宇宙船(うちゅうせん)の設計(せっけい)の見直(みなお)しと改良(かいりょう)を何度(なんど)もくりかえし、ついに1969年アポロ11号に乗ったアームストロングとオルドリンによって、人類史上はじめての月面(げつめん)着陸(ちゃくりく)を成(な)しとげました。このとき2人は、月の石を地球に持(も)ち帰(かえ)ります。分析(ぶんせき)した結果(けっか)、月は地球とほぼ同じころの約46億年前にできたことがわかりました。


Vol.1では、宇宙飛行士と宇宙船の歴史。シリーズは「Vol.2 訓練」「Vol.3 生活のひみつ」があるのであわせてぜひ読んでください。
『大解明!!宇宙飛行士(Vol.1 活躍の歴史)』 著/岡田茂 監修/渡辺勝巳 出版/汐文社 2013年 請求記号538


■地球に似(に)ている惑星(わくせい)? 火星(かせい)探査

   火星(かせい)は、赤茶(あかちゃ)けた砂(すな)におおわれているので、地球から見ても赤く光って見えます。火星の大きさは地球の約半分(やくはんぶん)で、内部(ないぶ)の構造(こうぞう)、自転(じてん)の周期(しゅうき)、季節(きせつ)があることなどから、地球に似(に)ていると言われている惑星(わくせい)です。また、太陽系(たいようけい)の惑星のなかでは、生物(せいぶつ)がいる可能性(かのうせい)がある星として注目(ちゅうもく)されています。
   2003年、火星(かせい)探査(たんさ)にチャンスが訪(おとず)れます。火星が6万年(まんねん)ぶりに地球に大接近(だいせっきん)することがわかり、この大接近を利用(りよう)すると、地球から火星までが6カ月(かげつ)で到着(とうちゃく)できます。NASA(ナサ)はスピリットとオポチュニティの2台の火星探査車(たんさしゃ)を打ち上げます。2台のミッションは、火星に水があるかを調査(ちょうさ)すること。水があることがわかれば、生物のいる可能性がとても高くなります。火星に到着(とうちゃく)した2台は別々(べつべつ)に調査をし、かつて水が存在(そんざい)していた証拠(しょうこ)を発見(はっけん)しました。


太陽系の惑星探査から、太陽系のその先の銀河やブラックホールをさぐる様々なミッションが紹介されています。
『宇宙探査大図鑑』 監修/的川泰宣 出版/PHP研究所  2013年 請求記号538


■太陽系(たいようけい)のなぞにせまる 小惑星(しょうわくせい)探査(たんさ)

   小惑星(しょうわくせい)イトカワから2010年に地球に帰ってきた小惑星(しょうわくせい)探査機(たんさき)はやぶさ。7年で60億km(おくキロ)もの長旅(ながたび)のニュースはみなさんも覚(おぼ)えているのではないでしょうか?はやぶさのミッションは、イトカワの表面(ひょうめん)から物質(ぶっしつ)を採取(さいしゅ)して地球に持ち帰ること。小惑星は、太陽系(たいようけい)が誕生した時のまま残っている可能性が高く、小惑星を調べることで、太陽系の成(な)り立(た)ちについてわかるかもしれません。
   現在、2014年に打ち上げられたはやぶさ2が、小惑星「Ryugu」(リュウグウ)に向(む)かっています。予定では、来年2018年の夏ごろリュウグウに到着(とうちゃく)し、2020年に地球に帰ってきます。初代(しょだい)はやぶさのトラブルなどを参考(さんこう)に、様々(さまざま)な改良(かいりょう)をされパワーアップしたはやぶさ2の今後に注目です!


日本のはやぶさ2のほかにも、さまざまな国の宇宙開発についてよくわかります。近い未来実現するかもしれない宇宙旅行も気になります。
『これからの宇宙開発(ビジュアル宇宙をさぐる!5)』 監修/渡部潤一 出版/ポプラ社 2012年 請求記号440


■太陽(たいよう)の光(ひかり)ですすむ 宇宙ヨット

   「ソーラー電力(でんりょく)セイル実証機(じっしょうき)IKAROS(イカロス)」は、帆を使って宇宙を進(すす)むので、宇宙ヨット「イカロス」とも呼(よ)ばれています。イカロスは、宇宙に向かうロケットの中では帆(ほ)(セイル)は小さくたたまれていて、宇宙についたら一辺(いっぺん)14mの帆を広げて四角(しかく)い宇宙ヨットになります。ふつうのヨットは風の力で進みますが、宇宙ヨットは太陽の光が物(もの)を押(お)す力(ちから)で進みます。光が物を押す力は、空気(くうき)が物を押す力に比(くら)べてとても弱(よわ)く、空気のある地球では感(かん)じることができません。だけど空気のない宇宙では、とても弱い力でも宇宙ヨットは進むことができます。
   イカロスには、実証機(じっしょうき)と名がつくだけあって、たくさんのミッションがあります。2010年に打ち上げられてから現在も宇宙を旅しているイカロスが、どんなチャレンジをしてきたかは、ぜひ読(よ)んで確(たし)かめてください。


イカロス視点で描かれているので、イカロスがピンチの時はドキドキし、目標を達成すれば喜び、イカロスの宇宙の冒険が楽しく読めます。
『世界初の宇宙ヨット「イカロス」』 著/山下美樹  監修/森治 出版/文溪堂 2016年 請求記号538


■今も宇宙を旅している探査機

   この広い宇宙を、40年も旅をしている探査機(たんさき)がいます。1977年に打ち上げられた2機(き)の惑星(わくせい)探査機(たんさき)「ボイジャー」は、当時(とうじ)の技術(ぎじゅつ)では木星(もくせい)に行くまでがせいいっぱいのなか、木星を越(こ)えて、さらに遠(とお)くの惑星の観測(かんそく)に成功(せいこう)しました。
   ボイジャー1号は、木星・土星(どせい)を観測したのち、2012年には太陽系圏(たいようけいけん)を脱出(だっしゅつ)したとみられています。人類(じんるい)がつくった探査機の中で地球から一番(いちばん)遠くにいて、現在(げんざい)も飛行(ひこう)を続(つづ)けています。ボイジャー2号は、木星・土星・天王星(てんのうせい)・海王星(かいおうせい)の順(じゅん)に観測(かんそく)をしました。太陽系(たいようけい)惑星(わくせい)の中で一番遠くにある海王星を観測した唯一(ゆいいつ)の探査機です。ボイジャー2号も数年後(すうねんご)には太陽系圏を脱出すると考(かんが)えられていて、2機ともまだまだ宇宙の旅は続きます。


宇宙の大きさは?惑星の構造は?宇宙人がいそうな惑星は?などのなぞを一つ一つわかりやすく解説しています。
『見たい!知りたい!フロンティア探検3(宇宙のなぞ)』 編/こどもくらぶ 出版/WAVE出版 2014年 請求記号538


■まだある宇宙探査に関(かん)する本(ほん)

『太陽系探査の歴史(ジュニアサイエンス)』  監訳/有本信雄 翻訳/鈴木将 出版/丸善出版 2015年 請求記号538

『宇宙探査機・ロケット(最先端ビジュアル百科「モノ」の仕組み図鑑1)』 著/スティーヴ・パーカー 訳/上原昌子 出版/丸善出版 2015年 請求記号538

   宇宙探査について調べてきましたが、いかがでしたか?今回ご紹介(しょうかい)できたのはごく一部(いちぶ)ですが、現在もたくさんの探査機が宇宙を調査しています。探査機による宇宙の新(あら)たな発見(はっけん)などの報告(ほうこく)がこれからも楽(たの)しみですね。