やさしい科学しんぶん  No.70(2017.1)

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きみのとなりの相対性理論

   楽(たの)しい時間(じかん)はあっという間(ま)にすぎていくのに、退屈(たいくつ)な時間はとても長(なが)く感(かん)じることはありませんか?その謎(なぞ)を解明(かいめい)してくれるのが「相対性(そうたいせい)理論(りろん)」という考(かんが)え方(かた)です。
   なんだか聞(き)きなれない言葉(ことば)ですね?でも大丈夫(だいじょうぶ)!「時間は長くなったり短(みじか)くなったりする」、「空間(くうかん)は広がったり縮(ちぢ)んだりする」ということを説明(せつめい)した「相対性理論」について今回は調(しら)べてみましょう。

■「時間(じかん)」と「空間(くうかん)」の関係(かんけい)

   時間をはかる道具(どうぐ)は時計(とけい)、空間をはかる道具はものさし。もしも、みんながそれぞれ速(はや)さのちがう時計を持(も)っていたり、1cmが決(き)められていなかったり、同じ決まりの中で同じ道具を使って暮(く)らしていかなければ、世の中は混乱(こんらん)してしまいますね。
   でも、「相対(そうたい)」とは速さや大きさをはかる時に、どのような状態(じょうたい)ではかるかによって、ちがいが生まれることを言います。これは、速さや大きさが自分(じぶん)と他(た)のものとの関係(かんけい)の中で成(な)り立つものだからです。ふつうの生活(せいかつ)の中では気づきにくいほんの少しのちがいですが、「相対性理論」はこれを証明(しょうめい)して、多(おお)くの人に影響(えいきょう)をあたえてきました。


相対性理論は物理学の理論のひとつです。この本では相対性理論の考え方のもとである物理の仕組みから順番に説明しています。
『はじめての相対性理論 アインシュタインのふしぎな世界(楽しい調べ学習シリーズ)』 監修/佐藤勝彦 出版/PHP研究所  2013年 請求記号421


■動(うご)きながらリンゴを投(な)げたら?

   あなたが止まっている地面(じめん)の上でリンゴを真上(まうえ)に投(な)げると、そのリンゴはもとの場所(ばしょ)に落(お)ちてくるのでキャッチすることができます。では、動(うご)いている乗(の)り物(もの)の上でリンゴを真上に投げると、あなたの手にそのリンゴは落ちてくるでしょうか?
   答(こた)えは○です。どんなに早く動く乗り物に乗っていたとしても、その乗り物の中で真上に投げたリンゴは、リンゴを投げた場所に落ちてきます。あなたから見るとリンゴの動きは「まっすぐ上がって、まっすぐ落ちる」という上下(じょうげ)の動き方をします。
   では、この乗り物とリンゴを投げるあなたを、乗り物の外(そと)から見るとどうなるでしょうか。このとき、リンゴは上下に動くだけではなく、乗り物が動く分、横にも移動(いどう)します。これが、観察(かんさつ)する人の状態(じょうたい)(この実験(じっけん)では空間(くうかん))によって、その結果(けっか)が変わる「相対(そうたい)」という考え方です。 


相対性理論に関するギモンをひとつひとつ説明しています。
『アインシュタインとタイムトラベルの世界』 著者/佐藤勝彦 出版/幻冬舎エデュケーション 2014年 請求記号421


■時間(じかん)のはやさ

   時間(じかん)は、いつも同じはやさで過(す)ぎていくように感(かん)じますか?これも時間を観察(かんさつ)する人の状態(じょうたい)によって、速さがちがってくるということがわかってきました。そして、重力(じゅうりょく)が時間と空間(くうかん)に影響(えいきょう)することもアインシュタインという有名(ゆうめい)な科学者(かがくしゃ)が発見(はっけん)しました。じっさいに、地球上(ちきゅうじょう)では無重力(むじゅうりょく)の宇宙(うちゅう)空間(くうかん)とくらべると、少しだけ時間がおそくなることが観測(かんそく)されています。
   重力と同じ働(はたら)きをするのが、加速(かそく)したときに感じる慣性力(かんせいりょく)です。電車が発車(はっしゃ)するときに後ろに倒(たお)れそうになる力が働(はたら)きます。これが慣性力です。
   たとえば、双子(ふたご)の兄弟(きょうだい)のうち弟(おとうと)だけが超高速(ちょうこうそく)ですすむ宇宙(うちゅう)船(せん)で宇宙(うちゅう)旅(りょ)行(こう)にでかけたとします。宇宙から帰ってきた弟と地球に残(のこ)っていた兄(あに)とでは、年(とし)の取り方にちがいが出てくることになります。では、どちらが早く年を取るでしょうか?答(こた)えはこの本に書(か)かれています。


夜空に光る星は何年も前の光?!など時間にかんするふしぎがいっぱい!
『ふしぎ?ふしぎ!〈時間〉ものしり大百科2 飛びこえる〈時間〉タイムマシンのつくり方』 著/藤沢健太 出版/ミネルヴァ書房 2016年  請求記号421


■相対性(そうたいせい)理論(りろん)の生(う)みの親(おや)

   相対性(そうたいせい)理論(りろん)を生み出したのは、アルバート・アインシュタインという人物(じんぶつ)です。ドイツ生まれのユダヤ人として苦労(くろう)したこともありました。小さいころから、方位(ほうい)磁石(じしゃく)や光のしくみに関心(かんしん)をもっており、想像力(そうぞうりょく)豊(ゆた)かな子供でした。小学校になじめずにいましたが、勉強(べんきょう)がきらいだったわけではありません。自分(じぶん)の頭(あたま)で考えることに魅力(みりょく)を感じるアインシュタイン少年は、決(き)まりだらけの学校で、どうしてそうなるのか納得(なっとく)できないことを暗記(あんき)ばかりさせられることに嫌気(いやけ)がさしていたのです。
   そんなちょっと風変(ふうが)わりな男の子が、いかにしてノーベル賞(しょう)を受賞(じゅしょう)するまでになったのでしょうか。少しくらい人とちがっていても、それを自分の長所(ちょうしょ)にすることもできるのです。


少年時代からノーベル賞受賞などアインシュタインの一生が書かれた伝記。
『アルベルト・アインシュタイン―相対性理論を生み出した科学者(ちくま評伝シリーズ〈ポルトレ〉)』 著者/筑摩書房編集部 2014年 請求記号289


■相対性(そうたいせい)理論(りろん)ができるまで

   相対性理論を考えたのはアインシュタインですが、彼(かれ)ひとりではこの理論(りろん)を完成(かんせい)させることはできませんでした。ガリレオやニュートンなど、アインシュタインが活躍(かつやく)する前の科学者(かがくしゃ)たちが考えた理論(りろん)や実験(じっけん)をもとにして、さらにその疑問点(ぎもんてん)を解(と)き明(あ)かしていくことで相対性理論はうまれました。また、友人や家族の支えによって論文(ろんぶん)として発表(はっぴょう)することができました。


多くの科学者が天文学や物理学など自分の興味にしたがって、時には命がけで研究を続けてきました。
『誰かに伝えたい!勇気がわいてくる科学者の言葉1 科学の扉を開いた人びとガリレオ・ニュートン他』 監修/海部宣男 出版/金の星社 2012年 請求記号402


歴史上もっとも偉大な科学者の一人ニュートン。彼がどのように生まれ、研究にぼっとうしてきたかを記した自伝。
『ニュートンと万有引力―宇宙と地球の法則を解き明かした科学者(ジュニアサイエンス)』 訳/大森充香 出版/丸善出版 2013年 請求記号289


■みんなそれぞれ心(こころ)の時間(じかん)

   ここまで「相対性(そうたいせい)理論(りろん)」について調(しら)べてきました。みなさんは、これがどういうものかわかりましたか?わからなくても大丈夫(だいじょうぶ)!相対性理論がはじめて発表(はっぴょう)された時も、そして今も、完(かん)ぺきにこれを理解(りかい)できる人はとても少ないのです。そんな人たちのために、アインシュタインは相対性理論をこのように説明(せつめい)しました。「好きな人のとなりに座(すわ)って話(はなし)をしているときは、1時間が1分くらいに感(かん)じるでしょう。でも熱(あつ)い石炭(せきたん)の上に座ったら、きっと1分が1時間に感じるでしょう。」
   いろいろな実験(じっけん)によって、時間がすぎるのが早く感じる場合と、遅く感じる場合があることがわかってきました。夏休(なつやす)みを短く感じたり、大人(おとな)になると子供(こども)のころよりも時間がたつのが早く感じるようになったりするようです。そんなバラバラの時間の感じ方の中で、みんなが便利(べんり)に暮(く)らせるように使われているのが時計(とけい)です。時計によって、同(おな)じ速さに決(き)められた時間を使うと、学校の休み時間に友達(ともだち)と遊(あそ)ぶことができたり、待(ま)ち合(あ)わせができたり、みんなが心地(ここち)よく生活することができます。
   でも、時間の感じ方は人それぞれでちがっています。時間を長く感じやすい人、短く感じやすい人、ちょうどいいテンポは人によってちがうのです。みんなが一緒(いっしょ)に暮らすために、共通(きょうつう)の時計に時間を合わせることも大切(たいせつ)ですが、それぞれちがう時間の中で、ほかの人が生活していることを尊重(そんちょう)し合っていくことも同じくらい大切です。この『やさしい科学(かがく)しんぶん』だって、あなたと私では読(よ)むスピードはきっとちがうでしょうから。


みんなが暮らしやすくなるようにいつも使っている道具、時計。でも人によって時間の感じ方は違うのです。
『月刊「たくさんのふしぎ」通巻350号「みんなそれぞれ心の時間」』 出版/福音館書店 2014年 雑誌


   今回は、相対性理論について調べてきました。目には見えにくいけど、私たちの生活の中にたしかに存在(そんざい)しているものです。今回紹介(しょうかい)したもの以外(いがい)に、どんなことが相対性理論の考え方で説明(せつめい)がつくか、みなさんも調(しら)べてみてはいかがですか?では、また次号(じごう)で!