やさしい科学しんぶん  No.68(2016.3)

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生物多様性

   地球(ちきゅう)には、たくさんの生(い)きものがくらしています。3000万種類(しゅるい)以上(いじょう)の生きものがいるとも考えられています!日本でも、これらの生きものたちは森や川、草原(そうげん)、湿地(しっち)、海(うみ)などいろいろな場所(ばしょ)で、おたがいにバランスを保(たも)って生きています。
   たくさんの種類の生きものが、複雑(ふくざつ)に関(かか)わりあって存在(そんざい)していることを「生物多様性(せいぶつたようせい)」とよんでいます。わたしたち人間(にんげん)も、ほかの生きものとつながって生きています。
   今回は、生物多様性についての本を紹介(しょうかい)します。

■地球にすむすべての生きものは遺伝子(いでんし)でつながっている!

   大昔(おおむかし)の地球には生きものはまったくいませんでした。あるとき、小さな細胞(さいぼう)が海の中でできました。この細胞が地球のはじめての生きものでした。
   この細胞が仲間(なかま)を増(ふ)やしました。その時、細胞の中の遺伝子(いでんし)が少しずつ変化(へんか)して、いろいろな生きものが生まれました。これまでとはちがった種類(しゅるい)の生きものが増え、水辺(みずべ)でくらす植物(しょくぶつ)が現れ、動物(どうぶつ)が現れ、だんだんと陸地(りくち)でくらす生きものが増えていきました。
   人間の細胞の中には、サルや魚(さかな)の遺伝子と似ている遺伝子が今もあるそうです。なんだか不思議(ふしぎ)な気持(きも)ちになりますね。


地球上の生命がどのように生まれて多様な生きものに変化していったのか、わかりやすく書かれています。
『いのちのつながり』ぶん/中村運 え/佐藤直行 出版/福音館書店 1991年 請求記号461


■動物にはそれぞれにちがった自分の時間(じかん)がある!

   地球には、小さな動物も大きな動物もいます。小さいものは大人になるのも一生(いっしょう)を終(お)えるのもなんでもはやく、体重(たいじゅう)が増えるにつれて時間がゆっくりになって、大きなものはゆったり一生をおくるそうです。ネズミの一生は数年(すうねん)で、ゾウはその何十倍(なんじゅうばい)も長く生きます。
   1分間(ぷんかん)に心臓(しんぞう)がドキンとうつ回数(かいすう)もちがいます。ハツカネズミは約(やく)600回、人間は60~70回、ゾウは30回。息(いき)を1回スーハーと出し入れする間隔(かんかく)も、ハツカネズミは0.4秒(びょう)、ゾウは8秒かかります。でも、どの動物も、息を1回すってはくあいだに、心臓はドキドキドキドキと4回うつんだそうです。一生のあいだに心臓がうつ回数は、ネズミもゾウもどちらも約15億回(おくかい)でおなじなんですって。
   それぞれの時間を生きる動物たち、不思議でおもしろいですね。


哺乳類の寿命の不思議さについて、同名の中公新書が子ども向けに丁寧に書き直されています。
『絵ときゾウの時間とネズミの時間』文/本川達雄 絵/あべ弘士 出版/福音館書店 1993年 請求記号481


■雑木林(ぞうきばやし)には、はたらきものがいっぱい!

   ダンゴムシは落ち葉(おちば)を食べてふんを出し、そのにおいを合図(あいず)に仲間が集(あつ)まります。カブトムシの幼虫(ようちゅう)たちはくさった落ち葉を食べてふんを出し、カビや細菌(さいきん)などがそれを分解(ぶんかい)して、その栄養分(えいようぶん)で木がそだちます。ムカデのえさは、けものの死(し)がいや小さな生きもので、そのふんをミミズやササラダニが食べます。
   クマムシは150度(ど)の暑(あつ)さにもマイナス200度の寒(さむ)さにもたえ、100年も眠(ねむ)ることができる不思議な生きものです。落ち葉やコケを食べて、土にかえします。キノコは枯れ木(かれき)や死がいからとりだした栄養分(えいようぶん)をくさらせて、植物(しょくぶつ)が利用(りよう)しやすい土にします。
   雑木林の地面(じめん)をおおう落ち葉の下で、今日も生きものたちがうまくつながりながら土をつくり続(つづ)けています。


雑木林の生きものたちのはたらきぶりを、きれいなイラストでくわしく教えてくれます。
『土をつくる生きものたち 雑木林の絵本』文/谷本雄治 絵/盛口満 出版/岩崎書店 2005年 請求記号654


■合言葉(あいことば)は、「森は海の恋人(こいびと)」!

   平成元年(へいせいがんねん)(1989)、宮城県(みやぎけん)気仙沼市(けせんぬまし)の山に木を植(う)えた人たちがいました。それは漁師(りょうし)さん。海を元気(げんき)にしたいという気持ちで始(はじ)めたそうです。
   でも、どうして海ではたらく漁師さんが山に木を植えるのか、不思議に思いませんか?
   実(じつ)は、海から遠(とお)くはなれた森でつくられる養分(ようぶん)を、川が海に運(はこ)び、海の森を育(そだ)てているからなのです。海でうまれた植物プランクトンは、動物(どうぶつ)プランクトンに食べられ、動物プランクトンは小魚(こざかな)に食べられ、小魚は大きな魚に食べられます。ワカメやコンブなどの海(かい)そうもはえて、魚の赤ちゃんのかくれ家(が)になったり、ウニ、サザエ、アワビなどのエサになります。そうして魚がふえていき、みんなが自然を守るようになりました。
   人の心がやさしくなると、森も川も海も生きかえるのですね。


山に木を植えるということは、人々の心に木を植えること…漁師たちによる植林活動について紹介しています。
『山に木を植えました』 作/スギヤマカナヨ 監修/畠山重篤 出版/講談社 2008年 請求記号468


■生きものがきえると、どうなるの?

   「絶滅(ぜつめつ)」という言葉、知っていますか?ある種類(しゅるい)の生きものがみんな死んでしまって、もう二度(にど)と会えなくなってしまう、ということです。いま、地球にすむたくさんの生きものたちが姿(すがた)をけしています。絶滅(ぜつめつ)が心配(しんぱい)されている動物や植物は、わかっているだけで約1万7000種(しゅ)もいるそうです。トラやジャイアントパンダ、オランウータンなど私たちがよく知っている動物たちも絶滅が心配されています。
   私たちは、いろいろな生きものの命(いのち)を、生活(せいかつ)に利用(りよう)したり、食べものとして食べたりして、自然(しぜん)のめぐみをいただきながら生きています。ひとつの生きものがきえると、まわりの生きものに影響(えいきょう)が出て、地球上の生きもの全体(ぜんたい)のバランスがくずれてしまいます。
   生きものみんなの地球や自然、大切(たいせつ)に守(まも)っていきたいですね。


生きものたちの絶滅問題と私たちのくらしのつながり、生物多様性がこどもたちにわかりやすく紹介されています。
『もったいないばあさんと考えよう世界のこと 生きものがきえる』作・絵/真珠まりこ 監修/WWFジャパン 出版/講談社 2010年 請求記号482


■自然は大きな教室(きょうしつ)です!

   暑(あつ)い場所(ばしょ)、寒(さむ)い場所、山の近(ちか)くや海の近くなど、地域(ちいき)によって自然環境(しぜんかんきょう)はちがい、そこにすむ生きものもちがっています。生きものからの恩恵(おんけい)をうけてうまれた文化(ぶんか)もちがいます。
   いろいろな生きものがくらしている場所は、自然のしくみを知るのにぴったりです。磯(いそ)の潮(しお)だまりをのぞいて自然観察(かんさつ)をしたり、里山(さとやま)の雑木林(ぞうきばやし)で小さな生きものたちがつくる土を顕微鏡(けんびきょう)で観察したり、自然は、生きもののつながりを五感(ごかん)で感じられる生きた教室です。
   農作物(のうさくもつ)の収穫(しゅうかく)を祈(いの)ったり感謝(かんしゃ)したりするお祭(まつ)りなどの伝統文化(でんとうぶんか)や、動物の皮(かわ)や木や竹からつくる楽器(がっき)も、自然のめぐみと大きな関係(かんけい)があります。
   さまざまな自然を感じる経験(けいけん)をたくさんしたいですね。


植物、動物、微生物など多様な生物のはたらきによって地球の生態系は保たれています。多様性によるめぐみと危機の現状、多様性を守るための取り組みについて、多くの写真とイラストを使って解説されています。
『生物多様性の大研究』監修/小泉武栄 出版/PHP研究所 2011年 請求記号468


■科学実験教室(かがくじっけんきょうしつ)を開催(かいさい)しました!

   昨年12月5日に、小学生を対象(たいしょう)とした科学実験教室を開催しました。テーマは「電気(でんき)ペン」。割(わ)りばしに銅(どう)のペン先(さき)をつけてアルミテープで固定(こてい)し、黒(くろ)い線(せん)をペンに、赤(あか)い線を台紙(だいし)につないで電池(でんち)をつけてペンで台紙に触(ふ)れると電気がつきました。そして、カレー粉(こ)を染(し)み込(こ)ませた黄色(きいろ)い紙にペンで書(か)くとあら不思議(ふしぎ)、赤茶色(あかちゃいろ)になって絵(え)が描(か)けました!
 カレーのいいにおいがする中、みんな楽(たの)しそうにお絵かきをしていました。
赤と青のリトマス紙(し)を酢(す)や重層水(じゅうそうすい)につけて、色の変化(へんか)を確認(かくにん)するなど、簡単(かんたん)な実験を通して、酸性(さんせい)、アルカリ性などのものの性質(せいしつ)について学びました。
川崎図書館では、今後も科学実験教室を開催する予定です。次の教室もお楽しみに!