やさしい科学しんぶん  No.59(2011.2)

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ゴム

ゴムは私たちの生活のいろいろなところで大活躍(だいかつやく)しています。皆さんはどれくらいゴムの製品(せいひん)を知っていますか?そんなゴムについて調べてみましょう!

■ゴムのことを知っている?-ゴムの歴史-

ゴムには、植物からとる天然(てんねん)ゴムと石油(せきゆ)からつくる合成ゴムがあります。
  天然ゴムの歴史は古く、6世紀ごろにはアメリカ大陸にあったといわれています。今から500年以上前に、アメリカ大陸を発見したことで知られるコロンブスは、今のハイチとドミニカであるイスパニョーラ島を訪(おとず)れました。その時、原住民(げんじゅうみん)たちがよくはずむボールで遊(あそ)んでいるのを見ておどろき、持ち帰ったことでゴムはヨーロッパへ伝えられました。原住民たちは、ゴムで手袋(てぶくろ)やくつ、布にぬって固めた防水(ぼうすい)シートのようなものまで作り、使っていたようです。
(『ゴムのはなし』須之部淑男著 さ・え・ら書房 1984年 請求記号J57 ス)

■ヨーロッパでの開発

ゴム製品は少しずつ増えていましたが、温度によって変形(へんけい)してしまったり、使いにくかったため、あまり利用されていませんでした。
  1839年、アメリカのグッドイヤー(1800-1860)は、ゴムの研究(けんきゅう)をしていて、天然ゴムに硫黄(いおう)という物質(ぶっしつ)を加えて熱(ねっ)すると、ゴムの性質(せいしつ)が変化し、よくのび、丈夫(じょうぶ)になることを偶然(ぐうぜん)発見しました。このゴムを変化させる方法を「加硫法(かりゅうほう)」といい、この発見によって、ゴム製品がたくさん作られ、増えていきました。
  1887年、イギリスのダンロップ(1840-1921)が、息子の自転車のために乗り心地(ごこち)を良くしようと、空気入りタイヤを発明しました。この空気入りタイヤは、またたく間に広まり、その後1895年、フランスのミシュラン兄弟が、空気入りのゴムタイヤを自動車につけて、ロードレースに参加(さんか)し完走(かんそう)しました。その後、タイヤは徐々(じょじょ)に自動車で使えるようになっていき、タイヤの研究とともに、ゴム産業(さんぎょう)も発展(はってん)していきました。
  1934年、ドイツの会社が、石炭(せきたん)と石灰(せっかい)を原料にした化学(かがく)物質(ぶっしつ)を素材にして、合成(ごうせい)ゴムの製造に成功しました。現在では、合成ゴムは、石油を原料に、作られています。天然ゴムと合成ゴムを使い、私たちの生活はますます便利になっています。

■ゴムの木はいっぱいある

  天然ゴムをつくるために、植物の樹液(じゅえき)をとりますが、その植物はたくさんあります。「パラゴムノキ」という植物は代表的なゴムの木です。パラゴムの木は、アマゾン川流域(りゅういき)が原産(げんさん)で、気温が高く、雨の多い地域(ちいき)で育ちます。幹(みき)の高さは20~30mにもなり、樹皮(じゅひ)は灰(はい)褐色(かっしょく)。葉は厚くなくやわらかで、3枚で1つの葉を形作っています。紅葉(こうよう)していったん落葉(らくよう)しますが、雨季(うき)が近づくと新しい葉が出て、花が咲きます。その後実もつけます。樹皮(じゅひ)に傷(きず)をつけ、そこから出る樹液を集めゴムを作りますが、その樹液を「ラテックス」といいます。また、観葉植物(かんようしょくぶつ)として使われる種類のゴムの木もあります。
(『新図詳エリア教科事典 植物』 学習研究社 1994年 請求記号031)

■ゴムの豆知識「チューインガムもゴムだった!」

  サポジラ(サボディラ)という木の樹液を「チクル」といい、ガムをつくる原料として昔から使われています。実はこれも、ゴムの木の1種です。
  お医者(いしゃ)さんが使う外科(げか)用テープや、歯医者さんが治療(ちりょう)するための材料なども同じ植物から作られています。

■イタリアの航海家 クリストファー・コロンブス(1446-1506)

  1492年、スペインの女王イザベラの助けにより、コロンブスは船をひきつれて、アジア(インド)に行くために西へ向かいました。当時、地球の周囲の長さは実際(じっさい)より小さく考えらえており、西に向かえばインドに到達(とうたつ)することができると信じたからでした。彼は、4回の航海(こうかい)に出ましたが、今の西インド諸島(しょとう)の島々を次々に発見し、ゴムやカカオ豆などの様々な珍(めずら)しいものを収集(しゅうしゅう)し、ヨーロッパへ伝えました。
  その後、コロンブスの死後(しご)にインドと思われていた場所は、全(まった)く知られていなかった新しい大陸の一部だということがわかり、南アメリカ海岸(かいがん)付近(ふきん)を航海したアメリゴ=ベスプッチの名をとって、「アメリカ大陸」と命名されました。こうしてコロンブスはアメリカ大陸の発見者として、世界中に名を広めましたが、侵略(しんりゃく)と植民(しょくみん)において批判(ひはん)され、現代ではアメリカとヨーロッパ間の航路(こうろ)発見者として評価(ひょうか)されています。
(『玉川児童百科大事典 21(別巻)』 誠文堂新光社 1991年 請求記号031)

  「コロンブスの卵(たまご)」コロンブスの新大陸発見を妬(ねた)んだ人々が、「あなたが行かなければ誰(だれ)かが見つけていた」と意見を言ったところ、コロンブスは「それではこの卵を平らな板に立ててみてください。」と言い、誰もできなかったあとに、その卵の先を少し割り、板に立てました。「その方法なら誰でもできる」という人々に対し、コロンブスは、「人のした後に真似(まね)をすればだれでも簡単(かんたん)にできる」と返しました。「誰でも出来る事でも、最初に実行するのはとても困難(こんなん)であり、発想力(はっそうりょく)が必要」という逸話(いつわ)です。

■ゴムの不思議

  身の回りのものは、分子(ぶんし)という目に見えないほど小さなつぶがたくさん集まってできています。ゴムは分子がくさりのようにつながっていて、さらに硫黄を加えると、硫黄の分子がくさりどうしを橋でつないだようになり、もっと伸(の)び縮(ちぢ)みができるようになります。ゴムには主(おも)に4つの性質があります。それぞれの性質を使って活躍(かつやく)している製品は、どのようにして作られているのでしょうか。
(『ようこそ!ゴムの世界へ』 株式会社ブリヂストン社 2008年 請求記号578)

■伸びる代表輪ゴムは自転車のチューブで作られた

  輪ゴムは、1845年、イギリスのゴム業者(ぎょうしゃ)ペリーが、書類や手紙の整理のために作ったとされており、ゴムシートを型(かた)抜(ぬ)きして作っていました。日本では1917(大正6)年、自転車のタイヤチューブを輪(わ)切(ぎ)りにしたものが、輪ゴムとして、はじめて売り出されました。日本銀行で紙幣(しへい)(紙のお金)を束(たば)ねるのに採用(さいよう)されたり、幅(はば)広く活躍する中、食品関係にも使えるように現在のかたちになり、様々な種類の輪ゴムができました。
(『最新モノの事典』 最新モノの事典編集委員会著 鈴木出版 2009年 請求記号031)
(雑誌「RiKaTan 理科の探検」 2008年9月号 特集輪ゴムを使った実験・ものづくり 星の環会 請求記号 ZJ)

■空気や水を通さないゴムは遊び道具にもなる

  空気や水を通しにくいこともゴムの特性の1つです。ゴム風(ふう)船(せん)もそれを活(い)かした遊具(ゆうぐ)です。アメリカで約60年前にうまれ、空気を入れるとゴムが伸(の)びて膨(ふく)らみます。型にゴムの液体(えきたい)をつけて、乾(かわ)かして作るので、つなぎ目がありません。文字や絵は風船を一度ふくらませて、印刷(いんさつ)しています。どのように風船が作られるのか、風船は飛ばしたら最後(さいご)はどうなるのか、などゴム風船のことをとても詳(くわ)しく知ることができる本があります。
(『どうやってつくるの?モノ知り図鑑3遊び・スポーツでつかうもの』花形康正著 国土社 1997 請求記号500)

■運動靴の底やタイヤの溝の秘密

  二つのものがふれあい、その面がでこぼこしているほど、摩擦(まさつ)が起き、摩擦力(まさつりょく)が大きくなります。その現象(げんしょう)が起きると、すべりにくくなるということです。ゴムでできている靴(くつ)の底(そこ)は、運動をする時、衝撃(しょうげき)を抑(おさ)えることと、滑(すべ)らない様に作られています。運動靴がいろいろな運動の時にしっかり私たちの足を支(ささ)えてくれるのは、このゴムの材質(ざいしつ)と模様(もよう)のおかげです。靴の底やタイヤは、溝(みぞ)から水をはねとばすので、雨の日には、地面との間に摩擦が働いて私たちや車がスリップしないようになっています。ゴムはすべりにくくする摩擦が大きいために、このような使われ方もされています。
(『21世紀こども百科科学館』 小学館 1998 請求記号400)

■電気から私たちを守るヒーロー

  ゴムという物質は、電気を通さない性質もあります。いろいろな家電(かでん)製品を使うとき、コンセントに差し込む電気コードの外側はゴムですよね。私たちが電気に感電しないように、守ってくれています。

■ゴムの豆知識「消しゴムはゴムなの?」

  鉛筆(えんぴつ)が誕生した16世紀(せいき)以降(いこう)、書いたものを消すためにパンが使われていました。1770年、イギリスのプリーストリーは、ゴムで紙に書かれた鉛筆の字を消せることを発見しました。日本では、明治(めいじ)時代になると消しゴムがよく使われるようになり、1954(昭和29)年ごろに、日本の企業(きぎょう)が、軟質(なんしつ)塩化(えんか)ビニル樹脂(じゅし)を使った消しゴムを開発し、世界で初めて「プラスチック字消し」として発売しました。以来、プラスチックがゴムに代(か)わり字を消す道具の主流(しゅりゅう)になりました。

■自動車を支えるタイヤ

  日本で作られているゴム製品の約80%が自動車用タイヤです。自動車製造は日本の産業では代表的なものの一つです。タイヤも自動車の生産台数にあわせてどんどん増えてきて、タイヤ工場の多くは、自動車の組立工場(くみたてこうじょう)の近くにあります。タイヤは、天然ゴムと合成ゴムを、だいたい1対1の割合(わりあい)(ほぼ同じ量)でまぜ合わせて、最初につるつるのタイヤを作り、後で溝をつけます。
(『自給力でわかる日本の産業 5 鉄・ゴムはどこからくるの?』 木村真冬監修 学習研究社 2009 請求記号602)

■タイヤの豆知識「タイヤが黒いその理由」

  タイヤを作るときには、いろいろな材料を混ぜ合わせますが、「カーボンブラック」という真っ黒な炭(すみ)の粉(こな)を混ぜるとゴムの強さが増し、強いゴムを作ることができます。タイヤが黒いのはゴムがパワーアップした証(あか)しです。

■行ってきました!ブリヂストン TODAY ゴムとタイヤの博物館

  東京都小平市にあるブリヂストン TODAYでは、会社の歴史や、タイヤには欠かせないゴムや材料の展示、タイヤができるまでの製造(せいぞう)工程(こうてい)の実物を見たり、ゴムの性質を試(ため)すちょっとした体験(たいけん)もできます。免震(めんしん)ゴムという地震(じしん)の揺(ゆ)れを吸収(きゅうしゅう)するゴムの開発もしていて、博物館自体を免震(めんしん)構造(こうぞう)で建築(けんちく)しているので、地下に行くと免震ゴムを見ることができます。ゴムやタイヤのことを楽しく、そして詳しく知ることができます。(日曜・祝祭日は休館)
TEL:042-342-6363  URL:www.bridgestone.co.jp/today

■博物館で豆知識「自動車のタイヤが地面についている部分の面積はどれくらい?」

  タイヤの地面についている部分の面積はハガキ1枚分しかないそうです。実際に見るとよく分かります。自動車の本体を、はがき4枚分の面積で支えて、スムーズに走らせるタイヤはまさに縁の下の力持ちですね。

■ゴムで工作をしてみよう

  ゴム風船や、輪ゴムを使って楽しく工作をしてみましょう!
(『科学工作図鑑1・2』 立花愛子著 いかだ社 2009 請求記号507)