やさしい科学しんぶん  No.57(2010.1)

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■みぢかな野菜おイモを知ろう

  カレーや肉じゃが、てんぷらや煮物。おイモはわたしたちのみぢかな野菜だね。でも、おイモのことみんなどれくらい知っているかな?おイモについて調べてみよう!

おイモってどの部分??ふだんみんなが食べているおイモは、植物学的にいうとどの部分なんだろう?

  植物はおもに葉っぱで太陽の光と空気中の二酸化炭素を吸収し、根っこで吸いあげた水を使って光合成をおこない、でんぷんを作り出しています。でんぷんは植物が生きていくために使われるけど、残りは根っこや茎にためこまれ、大きなかたまりになり、人間が食用にしているものを「芋」とよんでいます。じゃがいもやさといもは茎に、さつまいもやながいもは根っこにでんぶんがためられおイモになります。
『ジャガイモ』 鈴木公治/著 あかね書房 2005年 請求記号479

  「クワイ」というおイモは、土の中ではなく、水の中で栽培されるめずらしいおイモ。芽の出た形から「芽が出る」縁起(えんぎ)がよいものとして、古くからおせち料理や祝い料理で食べられています。
『自然大博物館』 小学館 1992年 請求記号403

  おでんに入っているプリプリした食感のこんにゃくも、おイモからできているんだ。さといもの仲間の「コンニャクイモ」をすりおろして固めたものがこんにゃくなんだよ。コンニャクイモは5年くらい生きる多年(たねん)草(そう)という植物で、おイモが収穫できる大きさになるまで2~3年もかかるんだ。大きいもので直径30センチ以上にもなるんだよ。
『コンニャクの絵本』 内田秀司/編 農文協 2005年 請求記号617)

なんと!古代から食べられてきた歴史あるおイモ「さといも」

  さといもは、山に生えていた「やまのいも」(自然(じねん)薯(じょ))に対して、人が住む集落(しゅうらく)の近くで育つことから、里のおイモという意味で「さといも」というんだ。日本には、稲作が始まる以前、縄文時代にはすでに食べられていたと考えられていて、さつまいもやじゃがいもが渡来してつくられるようになる江戸時代までは日本のおイモといえば「さといも」だったんだよ。茎も「ずいき」という名前で昔から食べられています。また、「衣(きぬ)かつぎ」という食べ方もあるんだけれど、さてどんな食べ方でしょうか。昔からの色々な食べ方は(『おもしろふしぎ日本の伝統食材2 さといも おいしく食べる知恵』 おくむらあやお/作 農文協 2008年 請求記号596)を見てください。

さといもファミリー

  さといもは種をまくのではなく、種イモを植えて栽培します。種イモから親イモ、子イモ、孫イモ、とどんどん増えていきます。さといもはめったに花が咲かないので、種ができません。だから種イモで増やしていくのです。でも、さといもの仲間の「ミズバショウ」「マムシグサ」「アンスリウム」などはめずらしい形や色をした花が咲き、根っこは食べずに花を楽しむための種類です。
『おもしろふしぎ日本の伝統食材2 さといも』 おくむらあやお/作 農文協 2008年 請求記号596

たくさんの人々の命をすくってきたおイモ「さつまいも」

  さつまいもの原産地は、中・南アメリカの熱帯地域。15世紀にコロンブスがアメリカ大陸を発見したとき、スペインへ持ち帰ったといわれています。そしてヨーロッパからアフリカやアジアへと広まり、日本には江戸時代の初め、中国から琉球(りゅうきゅう)(現在の沖縄県)、薩摩藩(さつまはん)(現在の鹿児島県)を通って本州に伝わったんだ。だから「薩摩芋(さつまいも)」なんだね。
『育てよう!食べよう!野菜づくりの本 3 いも』 ポプラ社

未来の宇宙食?宇宙で注目!

  さつまいもの細いたくさんの根っこが、土のすき間の肥料まであつめることができるので、ほかの作物が育たないような土地でも、さつまいもなら作ることができます。そんなさつまいもに目をつけたのが、NASA(ナサ)(アメリカ航空宇宙局)です。将来人間が宇宙に長期(ちょうき)滞在(たいざい)し、自給自足(じきゅうじそく)するとき、さつまいもは栄養があり、葉や茎も食べることができるのでゴミが少なく、水をあまり使わず狭いスペースで栽培できるので、宇宙ステーションにぴったりと注目しています。今はまだ研究の段階ですが、近い未来にさつまいもは宇宙食になっているかもしれないよ。

144度の葉っぱのひみつ

  さつまいものツルをまっすぐ伸ばしてみると、葉っぱが6枚目ごとに同じ列の上にかさなるようについています。ツルを中心にして見ると、144度ずつずれて葉っぱがつき、2まわりしておなじところに葉っぱがきます。さつまいもの葉っぱは、角度をかえてどの葉っぱもうまく太陽の光が当たるようになっているんだよ。
『サツマイモの絵本』 たけだひでゆき/編 農文協 1997年 請求記号616

パプアニューギニアの暮らしとさつまいも

  近隣の村では焼畑(やきはた)でタロイモやヤムイモを栽培し、野生動物をつかまえて暮らしている人々が多いなか、ウェナニ村はさつまいもを作り、ブタも人間もさつまいもを食べている。土地をたがやし、家畜を飼育し、環境にやさしい暮らしをしている人々のようすを調査記録した(『ブタとサツマイモ 自然のなかに生きるしくみ』 梅崎昌裕/著 小峰書店 2007年 請求記号469)がおもしろいよ。

■ひとくちイモ知識≪甘藷(かんしょ)先生(せんせい) 青木(あおき)昆(こん)陽(よう)≫

  薩摩藩で作られていたさつまいもが全国に広まったのは、青木(あおき)昆(こん)陽(よう)という江戸時代の学者の力です。1698年に江戸で生まれた昆陽は、京都で実際に役に立つ古義学(こぎがく)という学問を身に付け江戸に戻り、塾を開いて生活をしていました。そのころの日本は4,5年ごとに米の取れない年が繰り返され、多くの人が飢(う)え死にしていました。昆陽は、薩摩藩では甘藷(かんしょ)(さつまいも)のおかげで飢(う)える人がいないことに気づき、やせた土地での作り方や、おいしい食べ方を「甘藷之記(かんしょのき)」にまとめ、全国に広めるきっかけを作ったので、甘藷(かんしょ)先生(せんせい)と呼ばれ、今も毎年10月は東京の目黒不動で「甘藷(かんしょ)まつり」が開かれています。
『江戸人物科学史』 金子努/著 中公新書 2005年 請求記号402

■ひとくちイモ知識≪サツマイモ資料館≫

  埼玉県川越市のさつまいも料理店のご主人が集めた、たくさんのおイモに関するグッズをお店の敷地内に建てた「サツマイモ資料館」に展示していました。資料館は2008年に閉館しましたが、678点の資料を川越市立博物館に寄贈(きぞう)し、資料の写真がホームページの「サツマイモ資料館からの移管(いかん)資料(しりょう)」で見ることができます。

世界中に2000以上もの仲間がいる!「じゃがいも」

  じゃがいもは、トマトと同じなす科の野菜。世界各国で2000種類以上の品種が栽培されていて、世界の5大食用作物(いね、小麦、大麦、とうもろこし、じゃがいも)のひとつ。原産地は南アメリカのアンデス山地あたり。16世紀にヨーロッパに伝わったけれど、芽にある毒を食べておなかを壊した人がでたので、しばらくは観賞用として女性の髪や洋服をかざり、マリーアントワネットも胸かざりにしていました。日本には、17世紀はじめ(江戸時代初期)、当時「ジャガタラ」と呼ばれていたインドネシアのジャカルタから、オランダ船で長崎に運ばれてきたのがはじまりといわれており、「じゃがいも」という名前がついたんだ。
『ジャガイモ』 鈴木公治/著 あかね書房 2005年 請求記号479

でんぷんは大活躍!

  じゃがいもは、生のままだと水分が多いので腐りやすく持ち運びに不便で、長期保存にもむいていません。そこで、じゃがいもをすりおろしてでんぷんを取り出し、保存や利用しやすく加工しています。収穫される半分以上のじゃがいもがでんぷん用と加工用に使われています。でんぷんに熱をくわえると、ちょっと甘くてとろっとする性質は、料理のとろみづけに使うかたくり粉や、ジュースなどの甘味料(かんみりょう)、かまぼこの成形などに利用されています。また、加工用にはポテトチップスなどのお菓子や、芋(いも)焼酎(じょうちゅう)などに使われているんだよ。

■ひとくちイモ知識≪ジャガイモ博物館 http://www.geocities.jp/a5ama/

  北海道のじゃがいも農家生まれで、道立根釧(どうりつこんせん)農業(のうぎょう)試験場(しけんじょう)で品種改良に長年たずさわり、「ジャガイモのつくり方」(農山漁村文化協会)という本も書いている浅間(あさま)和夫(かずお)さんのホームページ上の博物館。60品種の説明とイモや花の写真、食べ方や栽培風景の写真など見どころまんさい。

■ひとくちイモ知識≪国際イモ年2008 IYP(International Year of Potato)≫

  2008年が、「国際イモ年」って知っていました? 2005年の国際連合総会で決まり、国連食糧農業機関(FAO)によりキャンペーンが行われました。日本でも、2008年横浜パシフィコで「世界食糧デー/国際イモ年シンポジウム~イモを通じて食糧問題を考える~」が開かれました。世界第4位の食用作物のじゃがいもは、異常気象にも強く簡単に栽培でき栄養価も高いので世界的に注目され、食糧危機を救う作物として技術支援などを行っていこうと話し合われました。詳しいことは、社団法人国際農林業協働協会(JAICAF ジェイカフ)のホームページを検索してください。