やさしい科学しんぶん

発行・神奈川県立川崎図書館 No.55(2008年4月)

くうねるところに、すむところ

落語の寿限無に出てくる長―い名まえの中に「くうねるところにすむところ」ということばがあります。衣食住のどれか一つ欠けても生きられない、大切でありがたいことだから、おめでたい名前に加えようと考えたようです。今回は私たちのくうねるところであり、すむところである「家」について、さぐってみましょう。

さんびきのこぶたに聞いてみよう!

レンガはホントにじょうぶなの?1995 年(平成7)の阪神淡路大震災のとき、耐震性を考えて建築基準法が改正された1982 年以降に建築された物件の被害が少なく、1982 年以前に建てられたビル、マンション、鉄道の駅などで倒壊や全半壊が多かったことで、建物の耐震性が注目されました。

同じように、1923 年(大正12)の関東大震災では、明治時代に欧米建築様式を取り入れたレンガ造り の建物が、大きな被害を受けたり、昔ながらの木造家屋が火災によって多く倒壊しました。鉄筋コンクリート構造のものは被害が少なかったため、その後鉄筋コンクリートの建物が普及するきっかけになりました。

「この街の建物は昔、ぜんぶレンガ造りでね。セメントのない時代だったから石灰が使われていたんだけども、震災でみんな潰つぶれてしまったんだよね。」-横浜中華街の古老凌蔭堂氏のことば『マイウェイNo.66 横浜中華街物語』(はまぎん産業文化振興財団・発行 2007 年)当時からセメントも、レンガや石積みの建物の目地めじや接合剤として使われてはいましたが、砂や砂利をセメントで結合したコンクリートで、より頑丈な建物や基礎を作るようになりました。ただ、コンクリートはひび割れに弱いため、中に鉄筋を入れる方法が考えられたのです。

県立川崎図書館1階のやさしい科学コーナーがおすすめする「住まい」 のことがわかる本

家をつくる

『できたぜ!かくれ家』(月刊たくさんのふしぎ196 号) プチ/文 杉田徹/写真
福音館書店 2001 年7 月号(請求記号ZJ)
小学生4人組が家の裏山で山や野原や河原に生えている木や草だけを材料にして、ナイフ、なた、のこぎりなど昔からの道具だけでかくれがをつくります。

『家をつくる』(シリーズ世界の家とくらし8) グレーアム・リカード/著 河津千代/訳
リブリオ出版 1989 年(請求記号J52 シ)
木、泥、粘土、石、レンガ、コンクリート、金属…いろいろな建築材料を使った世界の家の建て方が紹介します。小学校中学年からの調べ学習にも使えます。

『しらかわのみんか~合掌造りのできるまで』島田アツヒト/文と絵 小峰書店 1981年
(請求記号J38 シ)
村の人たち大勢が協力して作る合掌造りの家。その家庭の様子が細かい絵でていねいに描かれています。今も残っている助け合いの伝統が、美しい民家のたたずまいをささえています。

日本の家

今、しっくいや昔ながらの自然素材の日本の壁材が見直されています。

『どぞう(土蔵)』 村尾佳洲子/著 SABU 出版2005 年 (請求記号 521)
左官仕事の様子が絵本になりました。作者はフレスコ画家でありながら、左官職人の元で左官仕事を学びました。土、藁、砂、石灰などの自然素材の組み合わせの造形作品の製作もしています。

『日本人のすまい~住居と生活の歴史』稲葉和也・中山繁信/著 彰国社 1981年(請求記号J38 シ) 先史時代からの日本の住まいと暮らしが詳しい図解でわかります。ここ何十年かの急激な変化は、すまいに対する日本人の考え方そのものがかわったことに関係あるのかもしれません。

日本の昔の家を見に行こう!建て物の博物館三つ。ホームページでも紹介しています。

川崎市立日本民家園 多摩区生田緑地内『川崎市立日本民家園』(図録)川崎市立日本民家園2004 年(請求記号521.86 111)

江戸東京たてもの園
東京・小金井公園内

博物館明治村
愛知県犬山市

世界の家

『地球生活記 世界ぐるりと家めぐり』 小松義夫 福音館書店 1999 年(請求記号 383)
岩の家、地下住居、猫いらずの村(?)、聞き耳長屋(!?)…それぞれの国の家に、食べて、寝て、子どもを育てた長い歴史がつまっています。

『舟がぼくの家』 (月刊たくさんのふしぎ167 号)
島田興生/文・写真 福音館書店 1999 年2 月号(請求記号ZJ)
フィリピンのアルビリンさん一家6人がくらす1そうの「家舟」。海で生活し、風と波といっしょの地球上でいちばん広い家。

動物のすみか

『鳥の巣研究ノートPART1』 鈴木まもる/文と絵 あすなろ書房 2004 年(請求記号488)
卵を産む鳥にとって、巣はお母さん鳥のおなかの中と同じ役割をしています。作者は鳥インフルエンザの問題をきっかけに、養鶏場のニワトリたちが、安心して卵を産んでヒナを育てられる「巣」が作らせてもらえないことを心配しています。

『動物のすみか』(しくみ発見博物館4) 丸善 1997 年(請求記号480)
土でできた城のようなシロアリの塚の断面図や自作の紙製のスズメバチの巣など、動物のたくみな家づくりを模型断面図でくわしく見ることができます。でも、人間の家の煙突や屋根裏を間借りする生き物もいて…その生き方もたくみです。

『生きものたちも建築家 巣のデザイン』 INAX 1993 年(請求記号481.7 14)
クモの巣の構造やかいこの繭の曲線を見ると「これこそ機能的な建築」と思わずにはいられません。展覧会の図録で参考文献も豊富です。表紙は鳥のキムネコウヨウジャクの巣です。

家って何だろう・これからの家

『あなたのいえわたしのいえ』 加古里子/ぶん・え 福音館書店 1980 年(請求記号 524 カ)
「家ってなに?」の質問に、とことんやさしくこたえます。壁や床がどうしてあるのか、どうして家が必要なのか、どうすれば住みやすくなるのか。なにげなさがきわだつ科学絵本です。

シリーズ 『くうねるところすむところ-子どもたちに伝えたい家の本』インデックス・コミュニケーションズ 2004 年(請求記号521)
第一線の建築家たちが、子どもたちにむけて、さまざまなテーマや表現方法で家と暮らしの関係を伝えます。専門家でなくてもわかる建築論であり、入門書としてもわかりやすいシリーズです。(刊行中)

ヒンプンハウスってなに?
『オキナワの家』伊礼智/著

団地、社宅、谷戸、アフリカの家…いろんな家で育った仲間が今いっしょに家を作っています!
『家のきおく』みかんぐみ・加藤朋子/著

小さな土地に部屋を18個も作るの!?…だって家族それぞれ大切なものをもっているんだもの
『物語のある家』妹島和世/著

この春、進学やひっこしで新しい家での生活が始まった人もいるでしょう。今年3月11日にスペースシャトル「エンデバー」が打ち上げられ、日本の実験棟「きぼう」の国際宇宙ステーション(ISS)への取り付け作業が始まりました。搭乗した宇宙飛行士の土井隆雄さんは「日本の宇宙での家です。ぜひ新しい家を大いに活用してください」と話しています。宇宙で暮らす未来が近づいてきました ね。ではまた次号でお会いしましょう。