サイエンスカフェ結果報告(2009年度第2回:通算第17回)

月の残された謎  その起源に迫る  ~月周回衛星「かぐや」の挑戦~

テーマ月の残された謎  その起源に迫る  ~月周回衛星「かぐや」の挑戦~
ゲスト阪本  成一さん(宇宙航空研究開発機構(JAXA) 宇宙科学研究本部 教授)
日時2009年9月5日(土曜)午前10時~12時、午後2時~4時
会場の様子

  2年前に打ち上げられた月周回衛星「かぐや」は、約40年前のアポロ計画以来の最大規模の本格的な月探査計画として注目を集め、今年の6月に観測を終えました。今回は「かぐや」がとらえた月の映像を紹介しながら、月がどうやってできたのか、その起源について考えてみました。

  ゲストは「かぐや」を打ち上げたJAXAから阪本さんにお出でいただきました。定員の3倍を超える申込をいただき、阪本さんのご厚意により、急遽午前の部も設定し、合計99名の方にご参加いただきました。

  今年は「世界天文年」で、ガリレオが自作の望遠鏡で宇宙を観測してから400年に当ります。当時は天動説が信じられていて、宇宙は神々のつくった完璧な世界と思われていましたが、ガリレオが望遠鏡で観察を続け、穴だらけででこぼこの月の真実を明らかにしていきました。

  ガリレオの時代に比べ、現代天文学は格段に進歩を遂げ、行けるところまで実際に行って観測できるようにもなりました。そして、今年はアポロ11号の月着陸から40年になります。

イラスト:月には模様があり、いつ見ても、三日月でも満月でも、同じ模様が見えます。それは、月の自転周期と公転周期が同じため、地球からは月の半面(表側)しか見えないからなのです。どうして同じ側ばかりを向けるかというと、月の重たい側の面が地球に引っ張られているからで、要するに月の下側しか見えないのです。

  まず、月には模様があり、いつ見ても、三日月でも満月でも、同じ模様が見えます。それは、月の自転周期と公転周期が同じため、地球からは月の半面(表側)しか見えないからなのです。どうして同じ側ばかりを向けるかというと、月の重たい側の面が地球に引っ張られているからで、要するに月の下側しか見えないのです。(右の図)

  それでは、月の裏側はどうなっているのか、ということを探るために人工衛星探査が行なわれ、今回「かぐや」が打ち上げられたわけです。月の裏側は表側とは違って、まったく模様はありません。

  「かぐや」はマイクロバス並の大きさで、月の裏側にいるときも地球と交信できるように、「おきな」「おうな」という2つの子衛星を伴っていました。

イラストの中の説明:月と地球は同時にできた?-巨大衝突説。地球は多くの天体が衝突、合体を繰り返して今の姿になったと考えられています。地球がほぼできあがったころ、火星ぐらいの大きさの星がぶつかり、宇宙空間に広がった地球のかけらが、しだいに集まって固まり、月ができたというのです。この説が正しければ、月と地球はほぼ同じ時期に今の大きさになったと考えられます。

  月の起源説は親子(分裂)説、捕獲説、ふたご説などが考えられてきましたが、現在では、巨大衝突説(地球ができあがったころ、地球の半分ほどの大きさの星がぶつかり、地球のかけらが集まって固まり、月ができた)が有力と考えられています。今後「かぐや」の集めた膨大なデータを解析することによって、月の起源の解明が進むと期待されています。

  その他、かぐやの捉えたハイビジョン映像が紹介され、隕石が落下したクレーターの詳細な様子も見られました。グーグル・アースならぬグーグル・ムーンも作れるようなはっきりした映像でした。また、今後の月探査のために、月面探査車も開発中であるということです。 21世紀は「宇宙の時代」といわれますが、人間は宇宙に飛び出すことで、地球のよさを感じることができます。宇宙と地球を知り、地球を大切にすることで、本当の「知的生命」になれる、と締めくくられました。

写真:熱心にメモを取る参加者

熱心にメモを取る参加者

引き続いて、会場からは数多くの質問が寄せられました。主なものを挙げます。

Q:もし月がなかったら、地球はどうなりますか?

A:今より速く自転し、1日の長さが今(24時間)より短かったでしょう。また、地球の自転軸は月のおかげで傾いた状態で一定になっていて、安定しています。もしそうでなければ、例えば木星と共鳴して、いきなり地軸が倒れてしまうことも考えられます。

Q:月の資源を活用することはできるのですか?

A:あまりないと思います。というのは輸送費があまりにも高くつくからです。もし月で生活するということになったら、建物の建材などは現地調達ということになるのでしょうが。

写真:小学生も質問しました。

小学生も質問しました。

Q:巨大衝突で月ができたとすると、衝突したのはいつごろで、地球のどの部分と衝突したのでしょうか?

A:衝突したのは地球ができたころ(46億年前)、即ち月と地球は同じころにできたと考えられます。どの部分と衝突したのかはわかっていませんが、太平洋の部分に衝突して、できた地球のかけらが月の大きさと同じではないか、と考える研究者もいます。

他にもたくさんの質問、意見をいただきました。ありがとうございました。

  なお、神奈川新聞の記事に、第16回(2009年4月27日付)と今回開催された第17回(9月6日付)のサイエンスカフェが取り上げられています。神奈川新聞の記事に紹介された第16回と第17回のサイエンスカフェ(PDF:204KB)

参加者のアンケートから

・科学には無縁な生活を送っていますが、地球がどうやって今日の状態に至ったのか、月と地球の関係性などは興味があったので、とても興味深く聞かせていただきました。自分でももっといろいろと調べてみようと思います。

・こんな面白い話を聞いたのは初めてでした。講師の話し方、明快、重複もなくスムーズに理解できた。

・公転と自転の周期が同じことは知っていたが、その同じ理由について詳しく理解できた。またアポロ11号の話も興味深かった。

・ロマンも夢もあり楽しかった。表と裏の違いがとても良くわかりました。

阪本さんから

写真:終了後、子どもからの質問に丁寧に説明する阪本さん

終了後、子どもからの質問に丁寧に説明する阪本さん

会場から大変熱心な質問をいただき私としても楽しめました。今回はサイエンスカフェというよりは講演会に近くなってしまったかもしれませんね。

関連情報

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